童夢
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鮒子田 寛 HISTORY
Dome Co,.ltd

Mar.23.2005 「童夢S101-Hbテスト開始」
出足ちょっとつまづくも、順調に周回を重ねたシェイクダウンテスト。これは吉か凶か?



写真@


写真A


写真B
● 完成したS101-Hb 
ニュースでもお知らせしたように、いよいよS101-Hbが完成し、3/16〜17日、岡山国際サーキットにてシェイクダウンテストを行った。
直前になってフロントのアンダーカバーとリアウイングのマウント部分とがどうしても間に合わないことが判明したので、間に合わせのために、何とかS101のアンダーカバーとノーズを取り付けるように改造するも、互換性の低いリアウイングのマウント部分はついに間に合わず、久しぶりの完成遅れとなり、1日遅れの岡山国際サーキット入りとなってしまった。
仮の姿のS101-Hbであるから、シェイクダウンテストは各部のシステムの作動確認しか出来ない状況となってしまったが、ドライバー陣もテストが1日遅れたため、スケジュールの都合から脇坂寿一はドライブを諦め、道上龍と荒聖治のドライブでシェイクダウンテストを行った。
設定の異なるノーズを装着した影響で床下の空気の流れが変わることから、リアのダウンフォースが減少し、逆に、フロント部分は従来のS101そのままのダウンフォースを発生するので、少々オーバーステアで走行することとなったが、まあ、タイムアタックするような状況でもないし、2人のドライバーは、チェック走行には少し長い約300Kmを走破して、シェイクダウンを終了した。
注)Photo3が本当のS101Hbのノーズ、Photo1の暫定ノーズとの違いを比べて下さい

● 乗用車のアウディからレーシングカーの童夢の時代へ
このようなコンディションではあるし、ルマンと比べると岡山国際サーキットは遙かに低速のテクニカルサーキットなので、ここで単純にマシンのポテンシャルを評価することは難しいが、ドライバーのコメントや各種のデータから、低速でのコントロール性が向上していることと、より大きなトラクションを発揮することは確認出来た。
新しいレギュレーションによって、ディフューザーが立ち上がるポイントが前方に移動したことから、ディフューザーとの干渉を避けるため、リアサスペンションのレイアウトが変更され、それに伴って、少ない隙間を縫うようにエキゾーストがレイアウトされている。写真では見えないかもしれないが、エンジン両側に設けたサブフレームも下側を大きく変更されている。
リアサスペンションを改良する機会にと、童夢はリアセクションを完全に作り替えてしまい、アップライト、アーム、ミッション側のマウント部分の総てが新設計となったので、S101とは完全に別物の足回りと言うべきだろう。
シェイクダウンテストの際に報告された、低速での優れたコントロール性や良好なトラクションは、空力の影響の少ない速度域での現象であることから、新しいリアサスペンションの効果が大きいと考えられている。
今回、初めて童夢S101をドライブした荒聖治は、「思っていたようなピーキーなクルマではない。非常に乗りやすい」と好印象を語ると共に、また、「アウディが乗用車だとすると、童夢は完全なレーシングカー」と、解釈の仕様によっては、良くも悪くも取れるような複雑なコメントをしてくれた。

●まともな開発成果
前回、100時間もの風洞実験がS101-Hbの開発のために行われたことが公表されたが、そのおかげで、最終的に素晴らしい空力性能が実現されたようだ。データ上で昨年までのS101と比較すると、ルマンを走った3台のS101の中で最も大きなダウンフォースを与えられていたRacing for HollandのNo.16よりも約15%大きなダウンフォースを獲得しながら、ドラッグは5%しか増えていない。また、この5%のドラッグ増加分は、ハイブリッドカーに義務つけられた助手席のヘッドレストによるものなので、驚異的な空力性能の向上と言えるだろう。では、どうして、昨年の時点で、同等の空力性能が達成できなかったのかというと、そんなにお金をかけて開発しても、そのような高価な部品を購入できるチームがなかったから、そこそこにしか出来なかったからである。

● ライバルは誰だ
近々ACOは、正式に受理したエントリーリストを公表するはずだが、現時点でエントリーを公表したレーシングチームを中心として、童夢S101-Hbのライバルとなりそうなマシンとレーシングチームを紹介しておこう。
最大のライバルは、3台が登場すると思われるアウディR8勢だが、2台がお馴染みの「Champion」(アメリカ)、もう1台は、ちょっと前までダラーラを走らせていた「オレカ」が走らせる予定だ。「オレカ」がオールフレンチドライバーで陣容を固めたのに対して、「Champion」は、アウディのワークスドライバー陣が多数乗り込んでいるようだ。
現在アウディは、2006年を目標として新しいP1マシンを開発しているようだが、何故か彼らは、2003年レギュレーションのLMP900マシンをベースとしたハイブリッドカーを作らなかった。
今年、スポーツカーレースに登場する全てのアウディR8は、昨年チームゴウによって優勝したR8-2004の改良モデルのようだが、2005年のACOのレギュレーションでは、2003年のLMP900マシンが参加する場合、2004年の状態より約40馬力最大出力が小さくなる、5%ほど小さなリストリクターの装着と950kgの最低車重を義務づけている。さらに10リットル少ない容量80リットルの燃料タンクを使わなければならない。
最大出力が小さくなることで燃費が良くなるので、燃料タンクが小さくなることは大きなハンデとはならないだろうが、最大出力の低下は大きな弱点となるだろう。
絶対的な速さで、アウディ勢が童夢S101-Hbに対抗することは難しいと考えられるが、しかし、パワーが少なくなることでいろいろな負担が少なくなり、結果的に、かなり耐久性の向上が図れることが予想されることと、強豪チームが走らせることも相まって、やはり、童夢S101-Hbにとっての最大のライバルであることは変わりないだろう。
2003年レギュレーションのLMP900マシンで参加するトップチームはアウディ勢だけで、他のほとんどチームは2003年レギュレーションのLMP900マシンをベースとして、新しいP1カーに作り替えたハイブリッドカーを用意しているようだ。
「ペスカロロ」と「クラージュ」ワークスは、共に「クラージュC60」をベースとした過激なデザインのハイブリッドカーを用意しているし、「リスター」も、ハイブリッドカーに作り替えている模様だ。
昨年速さを発揮した「ザイテック」のLMP675カーも3台が登場するようだが、しかし、彼らも約30馬力出力が小さくなる等、戦闘力は低下している。
もちろん、S101-03モデルでエントリーした「Racing for Holland」もライバルだ。
他にもセブリング12時間レースに登場した「ダラーラ/ニッサン」もルマンに参加するようだが、こちらは、まあ、将来のライバルとして期待というところか。
まあ、早い話が、童夢がトラブらなければ楽勝ということだ。

● テスト、テスト、テスト……
22日S101-Hbは関空からヨーロッパに向けて飛び立ちった。4月1~2日ポールリカールで行われるLMES合同テストがS101-Hbの最初の本格的な走行となる。
チームの拠点はルマンに置くことに決定した。公道区間が多いサルテサーキットはさすがに使えないが、ブガッティサーキットは空いていれば直ぐに使うことが出来るし、パドルシフトのテストなどは隣接する飛行場でも出来る。4月17日には、最初のレースとしてベルギーのスパ-フランコルシャンで行われるLMESの開幕戦に参加する。テストを兼ねた参戦だが、ついでに優勝というおみやげも欲しい。
スパのレースの後、チームはルマンに戻らず、そのままベルリンのラウシッツリンク(ユーロスピードウェイ)に向かい、20~21日は、ラウシッツリンクのFIAコースを使って高速テストを行うことになっている。
その後、ブガッティサーキットで開発を続けながら、5月には新たなテストも検討されている。ポールリカールでのテストによって、その後の開発予定が明確になって行くだろうが、五月はテストの連続となることは間違いないだろう。

●童夢の野望
「童夢ワークスという以上は、今までのルマン挑戦とはレベルの異なる予算を投入している。それでも、AUDIには及びもつかない。では、童夢は何をしているのかというと、この予算でも勝てるという技術力をアピールしたいのだが、それらの予算と技術力の差を理解する人が少なすぎてつまらない。しかし、まあ、とりあえずは、一回、勝たないとね」
とは林みのるの言葉だが、童夢には、何としてでも勝ってもらって2006年以降へつなげて欲しいものだ。林みのるの言葉とは裏腹に、ルマン本番までに予定される過密なテストスケジュールが、童夢の意気込みを如実に表しているようだ。