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Oct.14.2009拝啓、「AUTO SPORT」様


 JMIA MONOCOQUE

 

 


JMIAとしては、過半の理事が「大人の対応」を望んでいてこの記事の掲載を希望していないが、至ってお子ちゃまな私としては腹に据えかねているので、林みのる個人として童夢のサイトにて掲載する。

「日本を代表する自動車レース専門誌」と言っても一誌しかないが、この雑誌、私がレーシングカーを作り始めたころにデビューした大変に古い歴史を誇る由緒正しいレース専門誌であり、当時は、どれほど発売日を待ち焦がれていたか筆舌に尽くしがたいほどで、発売日の朝には本屋の前で開梱を待ちわびて購入して、一刻も早く読みたいものだから、本屋の前の植え込みに座り込んで読みふけっていたものだ。
また、この雑誌の出版社が開催してくれた「東京レーシングカー・ショー」は、バックヤード・ビルダーにしか過ぎなかった我々プライベート・コンストラクターを表舞台に押し上げてくれて、一気にレーシングカーの世界がメジャーとなる一つのターニング・ポイントとなった大変に有意義な催しとなった。
このように、ある意味で日本の自動車レースをリードしてきたと言える「AUTO SPORT」誌だが、ここ数年は、デスクに本は届くものの、ページを開くこともまれになってしまっている。
最早、「AUTO SPORT」は総合的な自動車レース雑誌というよりは、まあ、私から見れば、ドライバーと入門フォーミュラ・レースの参加者のためのミニコミ誌のようなものでほとんど読むべきところがない。
現在の超マイナーな日本の自動車レース環境にどっぷりと浸りきって、その環境からの目線で表層の出来事を書き連ねるだけだから、そこからは現在の自動車レースがかかえる問題も病巣も見えてこないし、まして未来にまでは思いが及ぶ訳もない。
こんな「AUTO SPORT」に日本の自動車レースの未来を語れとまでは言わないが、せめて、自分たちの専門分野であるアマチュアレース部門に関してくらいは正しい理解をお願いしたいものだ。
「AUTO SPORT」のウェブサイトの「ASまったり通信」に掲載されている「2010年のF4はホントに大丈夫か?」というコラムは、まったくジャーナリズムとしての視線や姿勢を忘れ去った、単なるアマチュアのF4参加者のうわさ話のレベルにしか過ぎず、また、JMIAの発表内容に秘められた未来への展望や重要なキーワードに何一つ気付きもしないから取材もせずに、単純に、資金力のないアマチュアレーサーにおもねただけの批判的な内容の記事をしたり顔に掲載する浅はかさには、「AUTO SPORT」誌が私の育ての親の一人であると自認する私としてもガッカリだ。
老いては子に従えということわざもあるから、ここは一つしっかりと諫言を呈しておくべきだろう。
まあ、いい時代になったもので、ちょっとした愚痴もこうしてネットで公開して溜飲を下げる事ができるから、いちいち怒鳴りこむ手間が省けるというものだ。
以下の黒字部分は「AUTO SPORT」のウェブサイトの「ASまったり通信」からの引用で、赤字部分は私からの突っ込み部分だ。

「来年のF4はどうなるんでしょう?」
ご存じない方にまず説明しておくと来季からこれまでアルミハニカムモノコックを使用していたF4でカーボン・モノコックの使用が認められたのです。まず最初に、いままでNGだったものが、どうして急にOKになったんだろう? 高価なはずのカーボン・モノコックを導入して、どうして上限価格が同じなんだろう? 強度基準も示されていないしクラッシュテストも必要ないし、どうして品質を保証できるんだろう?などの基本的な問題点に疑問を持ち、その経緯と状況を理解してから筆を進めるべきだ。
日本自動車レース工業会(http://www.jmia.jp)が参入を表明しており、童夢、ムーンクラフトなどが新規定F4マシンの製作を予定しています。
もともとF4に、JMIAモノコックのワンメイクでの導入を薦めていたJMIAが、どうしてコンストラクターとしての参入に踏み切ることになったかがこの話の重要なキーポイントになると思うが、ここをさらっと流すと、カレーの作り方という記事が「ボンカレーを買ってきて温めてください」くらいの間抜けな記事となってしまうと思うのだが?
車両価格の上限が決められているので、必ずしも一気に参戦コストが高騰するとは言えないのですが、もしカーボン・モノコックの方が圧倒的に速いとなれば、これまでの中古マシンは戦闘力が期待できないばかりか、中古価格も一気に下落するでしょう。ここ数年F4が活況を呈していたのは、2年落ち3年落ちのシャシーでも戦闘力を有していて、比較的参戦コストが抑えられているのがひとつの要因になっていると聞いています。
2年落ち3年落ちのシャシーでも戦闘力を有している理由は、F4がその間、全く進化していないからだよね? また、この1年、全く新車が売れていないのに、2年落ち3年落ちのシャシーはどこから供給されてくるのだ? このままでは、来期は3年落ち4年落ちになるし、再来年は4年落ち5年落ちになるのは必至で、「AUTO SPORT」の主張によれば、しかもその間、全く性能が向上しないことが盛んな条件というのだから、一体、どんなレースの姿を想像しているのだ?
先端で産業がリードしていないと2年落ち3年落ちのシャシーも生まれてこない訳だろ? 論理的におかしいと思わないのか? 涸れた井戸の水は飲みきったらお終いだ。

なので上位争いをするためにはカーボン・モノコックの新車が絶対必要という状況にもしなった場合、既存のエントラントが参戦を断念するという事態を招くのではないかと心配されます。もし自分が20代で借金しながら中古マシンF4マシンを所有してぎりぎりの資金でなんとか参戦している身ならば、かなり憂慮すべき状況です。しかし、そのいっぽうで、もし仮にそこそこの参戦資金が用意できて、最新のフォーミュラでレースしたいと考えている"エンジョイ・リッチ派"ならば、歓迎するかもしれません。F3にはあこがれがあっても、あのレベルになってしまうと技術的にも心理的にも参戦に向けたハードルがかなり高いのは事実。ならばF4で、という流れができる可能性もあります。
一体、何が言いたいのだ? "エンジョイ・リッチ派"の対極が"真剣・プアー派"だとしたら、その真剣っていうのが、将来、一流ドライバーになるということであるならば、若くして頭角を現して世間に注目される必要があるだろうし、それならば、それなりの舞台で熾烈な戦いを勝ち抜いてこそ目立ちもするものなのだから、そういう人たちにとっても、2年落ち3年落ちのシャシーがしょぼしょぼと走り回っているような裏さびれた舞台が理想という訳ではないだろう?
これを、人生を賭した勝負というのなら、当然、それなりの舞台装置が必要なのだから、誰も見ていないところで先進技術から取り残された形骸だけのフォーミュラもどきで走っていても空しいだけだろう。
カジノで勝負するにしても、コインしか持ち合わせていない人にはスロットがあるし、$100しかない人には$1でも賭けられるテーブルがある。億単位のデポジットをしている人にはVIPルームが用意されている。それぞれ、億万長者への道は確率が異なるが、身の丈に合ったクラスを選べば良いのではないのか?
JMIAでは既に、FJからF4までモノコックをはじめとする主要部品を継続使用しながらステップアップできるようなシステムを計画中であることを発表している。これにより、トータルコストはかなり軽減されるだろう。
こういう"真剣・プアー派"にとっても歓迎すべき革新的な企画や、そもそも、"真剣・プアー派"には手も足も出なかったカーボン・コンポジット・モノコックをアルミ・モノコックよりも安い価格で供給しょうとしていたJMIAの技術的努力は、我が国においては価値の無い取り組みなのか?
要するに、自分に適したカテゴリーが選択できるようなピラミッドが構築されていれば良い訳で、F4が中古パレードである必要はない。
「AUTO SPORT」の意見は、単に、"エンジョイ・プアー派" すなわち、貧乏なアマチュアの発想にしか過ぎない。

いずれにせよ、少なくとも現地点ではレーシングチームが"ワークスドライバー"を仕立てて参戦するのはなく顧客へのシャシー販売を前提としているカテゴリーですから、ユーザーの立場は考えて頂きたいものです。過当競争で、せっかく盛り上がったカテゴリーが焼け野原になって、あとに何も残らないという事態は避けなければなりません。
今後もしプロフェッショナルが集うカテゴリーに育てるというならば、ハード開発だけでなく、その道筋も示して頂く必要があるでしょう。「やられたからやり返す」という子供じみた考えではコスト高騰の末にカテゴリー自体が崩壊したJTCCの二の舞になってしまいます。
「やられたからやり返す」のがレースの世界では切磋琢磨ということではないのか? 子供じみた考えの私にはさっぱり言わんとすることが理解できん。
それに、顧客へのシャシー販売を前提としているカテゴリーの新車がここ1年1台も売れていなくて、2年落ち3年落ちのシャシーが安いから盛り上がっている状況って、一般的に考えたら危機的状況とは思わないのか?

日本自動車レース工業会という、公益性の高さをアピールするような団体名称を冠したのですから、
公益性? NPO法人だから会としての利益は追求しないけれど、日本自動車レース工業会なんて、明らかに会員への利益誘導のための業界組織の典型的な名称だと思うが? 
批判的な意見を表明するからには、ベースとなる自分なりの意見があっての批判なのだろうから、とりあえず、公開質問状として聞きたいが、それならば、F4をこのまま放置しておくことがベストだと考えているのか? もしそうでないのなら、どうすべきかという具体的な戦略を述べていただきたい。
一言いっておくが、F20からF4に至るまでだけでも、このご時勢に、見返りのあてもない億を優に超える先行投資を行う我々JMIAの日本の自動車レースの改革に賭ける意気込みは半端ではない。

その名に恥じぬようF4を盛り上げてください。(あ)
そんな我々に、「AUTO SPORT」から、「その名に恥じぬようF4を盛り上げてください」と、ちょっと筋違いで高飛車で嫌味ったらしいお言葉を賜っているが、さあ、それでは我々が突っ込む隙もないような素晴らしく建設的な意見を伺おうじゃないか。

林みのる