童夢
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鮒子田 寛 HISTORY
Dome Co,.ltd
       
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suzuka test
test record
F105 over view
1996年当時、HPに掲載したレポートの復刻版です。
cover page
P1 - P2
P3 - P4
P5 - P6
”絵本”のイメージで作られた当時のプロポーザルを編集し掲載しています。
 
童夢F105無限開発レポート VOL.5

先回の十勝でのテスト終了後、私は急いで自宅に戻りましたが、どうも家族の視線が以前のように慈しむような眼差しとは少し違うムードで、特に生まれたての頃は本当に大勢の人達がちやほやと可愛がってくれましたし、よそからもいろんな人達が見に来てくれたりしたものですが、今は1人でポツンと部屋に居る事が多くなり、家人の態度もなぜか少し冷やかに感じられるこの頃なのです。
それは、私もまだまだ幼いものですから経験も少ない上にいろいろ未熟なところも多いと思いますが、それもあえて誰が悪いのかと聞かれると、言いたくはありませんが親のせいだとしか言いようがありませんし、まあそれに素 性だけは良いと思っていますから将来についてそう性急に答えを出す必要もないと思うのですが、そんな訳でちょっぴり気分が滅入っていた矢先、夜中にふと眼をさましたら廊下から家族のひそひそ話が聞こえてくるではあり ませんか。
「不憫な子だなぁ、世間の誰もこの子を育てようとはしてくれない・・・」おいおい、子供を育てるのは親の努めだろう!と大声を出しそうになるのを グッとこらえて聞き耳を立てていると、どうやら山に埋められたり、川に流されたりはなさそうだし、一生懸命に育てようとしてくれている熱意は充分に伝わってきたのでひと安心していると、私はいつしかまた深い眠りに落ちて いたのです。(F105談)

というような本人の述懐とは関係なく、結果良好ならば「松茸パーティ」を合言葉に松茸シーズン中のタイムアタックを目指してテストを再開します。その前に本年後半の「童夢F105無限」開発スポンサーとして契約した「セブ ン-イレブン」が参加するイベント「北海道むらこん24」の為に8月25日に十勝スピードウェイでデモランを実施し、その際に集英社の自動車ジャーナリスト 村松氏のゲスト試乗を行う事になりました。
村松氏は大変に喜んでくれていたらしいのですが、これは村松氏の常軌を逸した申し出に敬意をはらって承諾したものであり、これを見て村松でOKなら俺だってというような二番煎じはもう面白くも何ともないのでお断りするつ もりです。

さて、9月14日から16日間までの間、MINEサーキットでの土、日のデモランと月曜日の専有使用によるテスト走行というスケジュールですが、今回から 表向きはデモラン、その実、与えられた時間は全て通常のテストというスタンスで臨む事にしました。

9月14日、土曜日、フォーミュラ・ニッポン終了後の1時間がデモラン/調整の為に用意されています。
まず今回、自信を持って投入したフロント・サードダンパーは予想通り大成功で、ブレーキング→ターンイン時のリアの不安感が大巾に減少し、また、フルブレーキング時のノーズダイブ量を従来の7mmから3.5mmに減らしピッ チングを規制したのもリアのグリップ感をマイルドにしたようです。次に対地効果による神経質なダウンフォース量の変化を是正する為に用意した12mm取付位置の高いフロントウイングとスプリッタを試しましたが、ドライバ ーの中野はコーナリング中のダウンフォースが一定したと感触は良かったようですが、データ上では大きな変化は読み取れなかった為に、今後もう少しベストなポジションをさがした方が良さそうです。
両アイテムともに結果は良好と言えますので今後は標準仕様として、更にセッティングを進める事にします。
まずピッチングが減った分、車高を2mm下げてみましたが変化が無く、理解の出来ない現象となりましたが、これは後程メカニックの設定ミスである事が発覚した為ここではなかった事にしておきます。
最後に同程度の中古CからBコンパウンドに交換しグリップの変化を確認したところ、約1秒弱遅くなるようです。

9月15日、日曜日はさすがレース当日ですからあまり長いピット作業を続けられませんので、昨日に引き続き中古同士のCとDコンパウンドのグリップ変化の確認を行い、やはり約1秒弱の開きがある事が解りました。

9月16日、月曜日、9時から2時間を専有テストとして用意していただいてます。
土、日の結果から判断してもう少しダウンフォースを増加した方が良さそうなのでリアのダウンフォースをMAXとしてスタートしましたが、ストレートに対し て風がフォローに吹いている影響を受け、あまり変化が認められません。
その後は微細なセッティングを行い、残り30分となったところでBコンパウンドの新品を投入し、中野も充分に気合いを入れてスタートしたところがスピン を喫してしまい、次にCコンパウンドの新品を投入して再度タイムアタックに向かいました。
しかし、このスピンは「童夢F105無限」の記念すべき最初のスピンであり、超高価なマシンである事を充分に承知している中野にとって動揺は隠しきれず、たぶんやや控え目な走りになったのだと思いますが1分13秒86が本 日のベストタイムとなりました。
前日のフォーミュラ・ニッポンのベストタイムが1分13秒54ですから、まだフォーミュラ・ニッポンより遅いじゃないかとおっしゃるかも知れませんが、私達 はこのサーキットをWilliamsが予選仕様で走行したとしたら1分11秒前後だと想定しています。
Williamsと同等のソフト系タイヤを使用したら今より確実に1秒は速くなります。エンジンもテスト用と予選用では別物で、無限の永長さんは万事控え 目な方ですがそれでも0.8秒は速くなるとおっしゃっています。
レースの翌日とは言え、もうコース上には砂が出てしまっています。予選中のクリアな状態なら0.4秒アップは確実です。
中野もあの直前のスピンがなければもう0.3秒は当然速かったでしょう。ととと言う事はもうすでに1分11秒26、Williamsの0.26秒落ちと言う事は F1GPの本予選では2~4番手になる訳で、まあ、こんな机上の空論を電卓片手にニヤニヤと楽しめるのも私の特権と思うと多少の苦労もいたしかたがないと納得してしまいそうですが、その上に現状、キャンバー角の調整範囲 が限界に達しているのでこれを改良して、次回には以前に報告したホイール巾の改善されたものが届くし、リアのサスペンションのセッティングが煮詰まらない原因もほぼ解明されているし、おお、我が「童夢F105無限」はど こまで速くなったら気が済むのであろうかなどとひとりで舞い上がっていますが、しかし一方、深夜のF1ガレージに静かに横たわるF105を眺めていると、 何となく"無人島の巨根"なんてニックネームがお似合いのような気もしてくるこの頃です。
そう言えば童夢もよく童貞の夢精の略だと言われますがどちらにしても役立たず、そう思うとF105も童夢もますますいとおしく思えてくるから不思議なも のです。