Mar.18.2013 NEWS RELEASE
「ロードゴーイング スポーツカーの開発について」

「株式会社 童夢」では、2015年度の完成を目指して、公道走行可能なスポーツカーの開発を開始しましたのでお知らせします。

このスポーツカーは、林みのるの最後のホビーとして開発するものであり、車を造ること自体が趣味である林みのるとしては造ることが目的であり、もとより事業とは考えていませんし販売も考えていません。
ただし、スポーツカーである以上、公道を自由に走り回れないと意味がありませんし、いにしえの「童夢−零」のリベンジも意識して、正規の方法でのナンバーの取得は実現したいと考えています。

では、どんなスポーツカーかと言いますと、正確に言うと、今回、私の造りたいのはシャーシで、そのベアシャーシにいろいろなスタイルのボディが架装できるという、つまり、私が20歳の時に製作した「MACRANSA」の進化版のような構想ですが、そのベアシャーシに、私も「童夢−零」の夢よもう一度と、「やんちゃ」をテーマに走りに徹したデザインのスポーツカーを製作します。
しかし、それだけだとそのスタイルが固定概念化して主役であるシャーシの存在感が希薄になってしまう恐れがありますから、同時にもう一台、「華麗」をテーマにした際立って美しいデザインのスポーツカーを製作し、その3台をセットで発表したいと考えています。
しかし、私は華麗なスタイリング・デザインは苦手なので、海外で活躍している童夢卒業デザイナーなどに協力を依頼するつもりです。

現在、基本的なレイアウトを進めている段階ですからまだまだ変更はありますが、現段階での仕様としては、カーボン・モノコック、FR、V6、2シーター、WB2700mm、全長4270mm、全幅1920mm、車重900kgというところです。
全容に関しては全く秘密にする必要もないので、固まり次第にホームページで次々と公開していくつもりです。

童夢では今まで、いろいろな車を造ってきましたが、近年においては、レーシングカーはレギュレーションと空力に支配されて自由度が低く、その他の車に関しても、だいたいクライアントの意向が強く反映されるのでこれまた自由度が低く抑圧された車造りが続いていましたから、この社内開発コードを「ISAKU」と称するスポーツカーは思いっきり自由に作ろうと張り切っていた矢先、かねてより、GTAからGT−300への参加車両の不足を相談されたので提案していたマザーシャーシのアイデアが具体化してきたものの、予算は無いが開発してほしいという虫のいい話になってきました。
しかし、入門フォーミュラの活性化のためと自費を投じてF4用のカーボン・モノコックとシャーシを開発してあげたら、なぜか現場からは反発しか返ってこなかった経験から、そのような奉仕的な協力はお断りとそっぽを向いていたのに、GTAの社長からの粘り強い要望が続いたため、ついついISAKUのシャーシの流用の可能性に関して口を滑らせてしまいました。
その瞬間からISAKUのシャーシ、正確にはモノコックですが、それを使ったGT300構想は既成事実化し、挙句、やはりFRだ!とかV8を積めとか言い出すし、レーシングカーとなると安全性の見地からもモノコック側面は高くなりますからロードカーとして充分なドア面積を確保できなくなりますし、結局、妥協の産物に成りかねないほどの大きな制約を受けることになってしまい本末転倒の結果となりつつありますが、さりとて2種類を開発する余力もありませんので、私の方が、レーシングカー由来のシャーシを活用したスポーツカーというコンセプトで大幅な妥協を強いられる結果となりつつあります。

そんな訳で、ここのところレース界からは距離を置いて身を清めて究極のスポーツカー造りに専念する環境を整えてきたにも関わらず、またもやレースがらみになってしまいましたが、DTMを導入しFIA GT−3に門戸を開きFNを外国に注文するような日本のレース界の拝外主義に、せめてもの一石を投じたいという思いは残っていますから、そのツボを突かれたという感じですね。
現在、マザーシャーシ開発担当と私の間で図面を前にミリ単位の熾烈なレイアウト合戦が展開しており、どうやら、やりたい放題の夢の車造りは又もや夢に終わりそうですが、いずれにしても最後の車造りとなりますから、世間の評価など無視して、私自身が最も乗りたい車、そうですね、ハンドルを握ると街中よりも峠に向かってしまうような「やんちゃ」な車を造ろうと張り切っています。

そもそも「ISAKU」も開発コードナンバーで正式な名称も未定ですから、そのあたりも含めて、開発プロセスは、順次、ホームページでお知らせしていきます。

ISAKU

「やんちゃ」をテーマに走りに徹したスポーツカーのイメージイラスト


私がデザインを担当する「やんちゃ」タイプのスポーツカーは、おおむねこんな形を目指しています。大人のおもちゃとしてのスポーツカーを考えるとき、突き詰めていくと、どうしてもLOTUS 7に行きついてしまいます。
しかし、デザイナーが現在版LOTUS 7というようなコンセプトに挑戦すると必ずと言っていいほど失敗に終わりますが、それは、LOTUS 7が究極の形であり、デザインを創造するというよりも逃れることが目的になってしまうからでしょう。

偽ロータス このデザインもLOTUS 7の呪縛の中にあるのかもしれませんが、18歳の時に、従兄弟の林将一(ハヤシレーシング)がモーリス・マイナーのポンコツをベースに自作したLOTUS 7を見て車造りに目覚めた私としては否定しないものの、これが、今、私が最も造りたい車の形であることも事実です。

このイラストはまだイメージの段階なので、これから、スタイリングの完成度を高めていきますが、基本的にはシャーシが主役のプロジェクトなので、実は、シャーシの機能的な美しさに最も力を注いでいます。
目標は、どんな美しいカウルを纏っていようが、ガレージに戻るとカウルを外して裸のシャーシを眺めて悦に入るというくらいの機能美を追求していますが、こちらは、現在、レイアウトを進めている段階ですから、追って発表させていただきます。

株式会社童夢 特別顧問 林みのる