Aug.29.2014
かねてより開発を続けてきました童夢が開発を担当するFIA-F4「童夢 F110」が完成しましたので、お知らせします。なお、レースに関しては、主催する(株)GTAからの発表を参照してください。

FIAによるFIA-F4の提案は、日本のレース界においては今世紀の黒船来襲に等しいエポック・メーキングな出来事のように思えましたが、そう思ったのは私だけのようで、日本のレース界からの反応は全くありませんでした。しかし、そのまま放っておけば、日本の入門フォーミュラは、常識外れの低価格を売り物にするFIA-F4に寡占されるのは火を見るより明らかでしたし、瞬く間に駆逐されてしまうのは眼に見えていましたから、せめてハード面での参入を希求していましたが、もとより、生産なんかも考えたら童夢が単独で取り組めるような規模の話ではありませんでした。
しかし、F3、SF、FCJが輸入車、GT300はほとんどがFIA-GT3、GT500もDTMのレギュレーションを導入と言う現状において、この上、SFJやF4まで輸入車に席巻されてしまっては、事実上、日本のレース産業は壊滅状態に陥りますし、ハードとソフトの両方をFIAからのあてがい扶持では、何を今更の東南アジア諸国と横並びになってしまうのは必至であり、ここで、50年のアドバンテージを誇る日本の自動車レースが振出しに戻ってしまうことは許せませんでしたから、せめてハード面だけでも日本製にしたいと、独力での開発を決意したところ、それこそエポック・メーキングな出来事と言っても過言ではないと思いますが、トヨタから日本のレーシングカー開発技術の育成に関して支援を頂けることになり、それに伴って日本自動車レース工業会(JMIA)の全面的な協力体制も出来上がってきましたので、ここに、一致協力して開発を進める体制が出来てきた次第です。

なにがエポック・メーキングな出来事かと言うと、今までの日本の自動車メーカーによるレース活動への協力/支援のほとんどはドライバーの育成に特化されてきましたから、そこに、日本の技術力の向上や開発のインフラの構築などの概念は皆無でした。
その結果が、今回のFIA-F4に代表されるような受け身一方の体質となってきましたが、この度のトヨタによるFIA-F4への支援は、明確に開発/生産を支援することを目的とされていますし、これにより、JMIAも結束してFIA-F4の開発/生産に乗り出せた訳ですから、ここを第一歩として、日本のレーシングカー開発技術の育成/発展につながっていく事を強く期待するものです。
さて、「童夢 F110」ですが、このFIA-F4のレギュレーションも昨今のレーシングカーの例にもれず、読んでいて椅子からずり落ちるほどの片手落ちで奇々怪々な項目が並んでおり、デザイナーにとっては成す術がないほどのがんじがらめのレギュレーションとなっていますので、かなり不細工な形となっていますが、そのあたりの説明と言うか言い訳については、Column Aug.23 2014を参照してください。