Feb.24.2009 童夢S102派遣

S102



童夢始まって以来の超大型予算を投じて開発した童夢S102ですが、潤沢な予算をいいことに、かなり新規技術領域に挑戦したため全てがうまくいった訳ではありませんでした。特に空力面では各所に斬新なアイデアを投入していたために、開発に時間はかかるは、完成が遅れたおかげで充分なテストはできないは、結局、2008年のルマンでは思惑の85%というところの性能しか発揮できずに、予定していた予選でのディーゼル勢の中ほどのポジション確保は果たせませんでした。
しかし、この結果にがっかりした訳ではなく、我々としては、2008年ルマンに向けて手堅くまとめるよりは、うんと高い基本ポテンシャルを目指して開発しておいて1年かけてチューンナップしようという戦略でしたから、2009年に向けての大きな可能性を成果と納得していました。
ところがタイミング悪くこの大不況の嵐にみまわれ、充分なテストや改良の実施が困難になってしまったので、昨年の初秋のかなり早い時期から2009年度のルマン参戦は諦めていました。
充分なテストや改良ができないままルマンに持ち込んでも、当然、結果は去年のままなんですから、技術的見地から見れば同じ週刊誌を2度読むようなもので意義も意味も興味もありません。

ところが今年は、いつになくヨーロッパのチームからのお声がかり多く、いくつかの有力チームからもラブコールが聞こえていましたが、改良点を放置したままの、つまり、実力を100%発揮できないことがわかったままのS102を貸与するのが嫌だったので、ヨーロッパのアマチュア・チームと完全にお遊びでルマンに行こうと楽しい計画を練っていたところ、昨年来、熱心にラブコールを送ってくれていたスイスを本拠地とするTeam Ecospeed SAから、今年になって、非常に建設的かつ計画的な提案をもらったので、改めて検討してみたところ、2010年の好結果を狙うには非常に有効なコラボレーションであると判断できたので、まずその第一段階として、今年のLMP1が参加できるレースへの童夢S102の貸与を承諾しました。

ただし、最低限必要なスペアパーツなどは揃えるものの性能は昨年のままですから、童夢としては、Team Ecospeed SAの今年のレース活動を通じて徐々に改良を進め、出来ることならば、その成果を反映しバージョンアップした新車で2010年のルマンにベストコンディションで臨みたいと期待しています。

Team name: Team Ecospeed SA
Team principal: Frank van Nunen
Chief Engineer: Steve Nichols
Nationality of team: Switzerland


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Endurance-info (フランスのスポーツカーサイト)