Jun.03.2009 OCEAN FRY開発



 

 

 


ボート好きの釣り人は、海さえ見れば海原に出て釣り糸を垂れたくなるものですが、いくら機械の小型化が進んだとはいえ、ハンドキャリーできるようなフイッシング・ボートはまだありません。
また、沖縄に行って浜辺に寝そべっていても、もう浮き輪では遊べないし足こぎの3輪車も恥ずかしいし、昔取った杵柄のウィンド・サーフィンも立ち上がれるか不安です。
それに、浮き輪やウィンド・サーフィンでは釣りもできません。
潮騒を聞きながら、こんな時に、小さくてもいいから自分のボートがあれば楽しいだろうなと思いませんか? イメージするのは、ちょっと大きめのスーツケースをパカッと開けるとたちまちボートになるというような手品のようなボートですが、思い立つとどうしてもほしくなります。
幸い、2003年から実長3.33M未満でエンジンやモーター出力が1.5KW未満であれば免許や船検が不要となりました。国交省にこんな粋な計らいが出来る訳もなく、当然、外圧によるものですが。
そこで、離島にまで宅配便で送れる2馬力ポートを目標に開発を開始しましたが、乗り物開発の常で、徐々に要求はエスカレートし肥大化していきます。
やれ、2人乗りはマストだとか、不沈構造は必須だとか、操縦性は良くしたいとか、生け簀がなくてどうして魚を釣るんだとか、何だか普通の釣り船を作っているような気分になってきますが、一方、宅配車に一人で積み降ろしができるようにエンジン込み35Kg以内で作りたいとか、宅配の料金は重さよりサイズで決まるのでなるべく小さく作らなくちゃとか、大きくなったり小さくなったりしながらも、やっと妥協点を見つけて、全長2530mm、全幅1105mm、高さ430mm(収納時 全長1374mm、全幅1105、高さ492mm)の大きさに落ち着きました。

ただし、現時点ではこの大きさはさして問題ではなく、構造が確立すれば、大きさはいかようにも作れますからこれからの問題と言えます。
構造上の特徴は、エンジンがワンタッチで船内に収納できること、そして、ワンタッチで10Kg少々のバウ側を外してスターン部にかぶせることによって、1.3×1.1×0.5mの箱になります。
問題は、この重量を実現するには、レーシングカーと同等の製作方法をとらないと軽くできないし、ハニカム構造による浮沈構造も得られません。重量的にはフォーミュラのモノコックの半分くらいですが、F3のモノコックが350万円の世界ですから、このOCEAN FRYも軽く200万円を超えるコストとなるでしょう。開発費はすでに1500万円を超えていますから、遠からず「お蔵入り企画」に追加されるのは間違いないでしょう。
まあ、このOCEAN FRY(大洋の雑魚)が好評だったら、改めて廉価版を考えることにして、とりあえずは、私のおもちゃとして常識はずれの超軽量ボートを目指します。

贅沢ついでに、船としての性能を追求するために、YAMAHAのボートデザイナーとして活躍されていた菅澤 實氏(現Marin Design Office代表)に 監修をお願いし、こうすれば直進安定が良くなるとか、このままでは2人が同じ側に座ればひっくり返るとか、今まで見たこともないような計算式を見ながらマ ニアックに性能を追求しています。

6/9日に合板とウレタン製のプロトタイプを琵琶湖に浮かべて、釣り仲間の松浦 賢や、かの有名なポート?なんだっけ?ボート解説者?波の見える男?誰にでも見えるよな?そうだ!!違いのわかる男の由良拓也などが試乗して評価を仰ぐことになっています。
そこで問題がなければ急いで製作に取り掛かり、今年の夏はこれで世界の海(の波打ち際)を制覇しようと思っています。