Jun.25.2009  ECOL DOME PROJECT














先行してシビックをベースに軽量化実験を進めてきました。



もう、エコという言葉を口に出すのも恥ずかしいほど猫も杓子もエコの時代ですが、自動車レースの世界もご多分にもれず、何とかエコロジーを取り入れて時代に取り残されないようにと必死です。しかしこれは、突き詰めれば突き詰めるほど無理難題というか荒唐無稽というか、いわば、ギャル曽根に低カロリー食を勧めているようなものですから、それなら食うなと言う話になるだけで、自動車レースならば止めちゃえば?という結論が待っているだけです。
あの手この手で燃料の消費量を10%削減したとしても、50周のレースを45周にすれば結果は同じことで、45周なら40周の方がベターだし30周ならより良い訳で、やっぱり止めるのがベストと言う事になってしまいます。
レース界としては、エコに関してはほっかむりを決め込むのが一番だと思っていますが、本気で自動車レースをエコロジーに役立てるとすれば、レース自体をエコランにしてしまうしかないでしょう。
プリウスとインサイトによる速さと燃費を競い合うようなレースが盛んになれば、戦争で飛行機が飛躍的に発達したように、自動車の燃費も飛躍的に改善されるようになるかもしれません。
しかし童夢では、自動車レースを開発技術力の戦いとして捉えてきましたし、軽量高剛性な車体の開発や空気抵抗の低減に的を絞った研究開発を続けてきました。
つまり、軽くて抵抗の少ない自動車の開発に熱心に取り組んできた訳で、これすなわちエコロジーの追求と言えるのではないでしょうか?
最近ときどき見かける屋根に扇風機を乗っけた「エコタクシー」をご存知ですか?走ったら扇風機が回って、その発電した電気で屋根の上の提灯を点灯させるのでエコという訳ですが、こんなギミックがまかり通るエセエコとは異なり、レーシングカーの開発技術は直接的に自動車の燃費向上に役立つ先進のエコロジー技術なのです。

それを実証するために、童夢ではこの度、インサイトに自動車レースで培った先進のエコロジー技術を投入し、燃費を20%以上向上させることを目標とした「ECOL DOME SUPER INSIGHT」の開発に着手しました。
50%ムービング・ベルト風洞を駆使して徹底的な空気抵抗の削減を図り、重量物をCFRPに置き換えることにより大幅な軽量化を目指します。また、開発中のCFRPの軽量ホイールによる発進時のエネルギー・ロスを軽減したり、その開発範囲は、ダンパーや電気関係にも及んでいます。このように、多方面からレーシングカーの開発技術を投入することにより、驚異的な燃費効率を誇る「ECOL DOME SUPER INSIGHT」を誕生させる予定です。

ただし、これらの研究成果である空力パーツや軽量化パーツを全て購入して、例え燃費が20Km/lが25Km/lに向上したとしても、年間走行距離が5万キロのドライバーでは年間5万円の節約にしかなりません。
パーツ代の元を取るだけで20〜30年もかかるようでは単なる無駄にしか過ぎませんから、これらの研究は、あくまでも今後の量産エコカーの開発に活かすための基礎研究であり、「まともにレーシングカーの開発に取り組んでいれば、もっと効率の良いエコカーが開発できます」というアピールでありデモンストレーションです。

つまり、レースにおける燃料消費を多少節減するよりも、まともに技術開発に取り組んできたならば、その技術を生産車に活かして、異なったオーダーの資源の節約に貢献できる可能性があるし、それが、技術開発競争である自動車レースの本来の姿であるという事を実証することが目的です。「ECOL DOME SUPER INSIGHT」は8月ごろに完成予定です。