Mar.31.2000 UOVA本格テスト開始

天候が急変、コースに雪が降ってきた

雪の中テスト走行する

琵琶湖スポーツランドのUOVA

ステアリングまわり

エンジンの吹け改善

メーターのトラブル

ステアリングレシオの再検討

FROM THE TOP

天候が急変、コースに雪が降ってきた
雪の中テスト走行する
琵琶湖スポーツランドのUOVA
ステアリングまわり
エンジンの吹け改善
メーターのトラブル
ステアリングレシオの再検討



UOVA(PROTO一TYPE)


はじめに

2000年型のNSXの開発に追われて延び延びになっていたUOVAのテストがやっと始まりました。
取り敢えずの作動確認を童夢から約15分の近場にある琵琶湖スポーツランド(カートコース)で行なってから、鈴鹿の南コースで本格的なテストを開始する予定でしたが、思いがけずいろいろな初期トラブルが発生し、なかなか琵琶湖スポーツランドを卒業出来ないでいます。

3月31日現在、ほぼ改良も終わりよいお日柄を選んでそろそろ鈴鹿デビューというところです。


UOVA SHAKE DOWN TEST

2000年02月18日

場所:琵琶湖スポーツランド(カートコース)
全長:950m
日時:2月18日 13:00〜15:00
車両:UOVA PROTO-TYPE
天候:雪時々くもり 気温:3℃
コースコンディション:ウエット
ドライバー S. Philippe :約15lap

テスト状況

天候が急変し雪が降ってきた為コースはたちまちフルウエット状態となり、充分なテストは望むべくもなかったが、取り敢えず初期の機能確認だけでも行なうことにした。

問題点
エンジンの高回転の吹けが悪い
燃料の供給量が多く、燃料がかぶっていた。(テスト終了後にプラグで確認。煤が付いていた。)
対策として、燃料をポンプで直接キャブレターに供給しているのを、間にタンクを設け、自由落下による供給方式を検討中。
ギア比が低く、加速が遅い
市販品でギア比を下げるために流用出来るパーツ(エンジン側スプロケット)の購入を検討。
ステアリングギアレシオが高い
ヘアピンなどでは操作が大変。
セミATタイプのシフトレバー
レバーをハンドルに固定できない構造の為、レバーをハンドルに固定できない構造の為、F-1のように操舵時にレバーがハンドルと一緒に回転しない。(現在、ステアリングシャフトの周りでがたつき動く)そのため操作が大変しづらく今後はハンドルに固定するように検討中。 (注)F-1のハンドルのレバーは、電気信号をコンピュータに送りシフト操作を制御するため、レバーは信号のみ送れば良い。それ故レバーの取り付け方法などの自由度は高い。UOVAの場合はワイヤーで直接ギアボックスとつながっているため取り付け方法に制約が多い。
メーターパネルの回転数
回転数を正しく表示しない。イグニッションコイルのリード線から出るパルス信号を利用して回転数の計測を行っているが、コイルが2個ある為、この方法では正確に計測出来ないことが判明。現在、メーカーに配線図を送り計測方法の検討を依頼中。


UOVA 第2回TEST

2000年02月28日

場所:琵琶湖スポーツランド(カートコース)
全長:950m
日時:2月28日 12:00〜15:00
車両:UOVA PROTO-TYPE
天候:くもり時々雪 気温:4℃
コースコンディション:ドライ→ハーフウエット
ドライバー 安田(全日本チャンピオンカートドライバー):31LAP

テスト状況

走行テストは、初めに前回からの改良項目の確認を行った。エンジンの吹け上がり、ギアレシオ、シフトの操作性、メーターパネルの表示、視認性など各機能、操作性を確認した。

カートドライバーにより、14LAP、12LAPと連続走行を行った。天候、路面コンディションは良好であったが、タイム的にはミッションカートにもまだまだ遅れをとる遅い結果となった。

フルタンクの状態から走行28LAP目にガス欠の症状を確認し、走行を止めたところ、エンジンがオーバーヒートしていることが分かった。エンジンはダメージを負っていなく、天候も悪化してきた為、エンジンを冷却した後に、数周ごとに水温を確認しながら、各機能、操作性の確認を重点に走行を行った。

前回よりの改良点の確認項目
エンジンの高回転の吹けが悪い
高回転時に少しばらつく場合があったものの、全体的に回転は12500rpm.まで、スムースに吹けるようになった。エンジンの発熱量を抑えることも兼ねて、燃料を多少濃くするなど、キャブの調整をする必要がある。
ギア比が低く、加速が遅い
前回のテストから回転を15.1%落したものの、ストレートエンドで4速に入る程度で、最高速度は約95km/hであった。また、タイトなコーナーで1速から2速の変速時に度々、ニュートラルに入ることがあったため、走行中は1速を使わなくて済むようなギアレシオに変更するのが望ましいと思われる。
ステアリングギアレシオが高い
前回のテストから問題であったが、対策が大掛 かりになるため、次回に持ち越した。ステアリングの最大切れ角が足りず、タイトなコーナをインベタで走行することは無理であった。また、ステアリングギアレシオが低く、タイトなコーナではステアリング操作が遅れ、シフト操作が行いにくくなることを再度確認した。
セミATタイプのシフトレバー
シフト操作力、ストロークについてはどのドライバーにも不満はなかった。前回のテストではシフトレバー位置が一定していなかったので、今回は、レバーをステアリングと同じ方向のみ少しだけだが回転するよう固定した。その為、操作性は良くなった。レバーは、ステアリングと完全に連動する方が良いことを再認識した。

その他
ブレーキ性能
カートドライバーによると、ブレーキは大変良く効くということであった。ブレーキバランスを変更することも無く、ブレーキング時に不安定になることも無く、全く問題無かった。


UOVA 第3回TEST

2000年03月22日

場所:琵琶湖スポーツランド(カートコース)長:950m
日時:3月21日 PM1:30 〜PM5:00
車両:UOVA PROTO-TYPE
ドライバー 安田(全日本チャンピオンカートドライバー):31LAP

テスト目的
前回テストでの不具合点の対策効果の確認
走行データの収集
ギヤレシオの確認
初期トラブルの洗い出し
各部の測温およびメンテナンス性の確認
セットアップ(車高、ダンパー等)

テスト状況

まず、車両のチェックのため3周走行し、続いてタイム計測に入ったが、エンジンが5000rpm以上吹けないため、今回変更したキャブレターの設定を前回の仕様に戻し、さらにバッテリーもスペアに変更した。しかし、今度はエンジンがレッドゾーンまで回るようになったものの10000rpm以上の高回転域でややバラツキ気味であり、ECU(Engine Control Unit)も変更してみたが特に変化はなく、そのままの状態で走行を続けることにした。
その後、チェックを兼ねてカウルのない状態で7周走行し、特に水温等も問題なかった為カウルを再び装着して走行を続け、今回のベストタイムを出す。しかし、その5周後にオーバーヒートとなり、走行を中止した。

ドライバーからのコメント
エンジンが前回テストよりもバラついている感じがする。(吹けてはいるが)
足回りがエンジンに対してかなり勝っているようで、もう少しエンジンパワーがあっても良い
クラッチの戻りが悪く、コーナー立ち上がりで半クラッチ状態でアクセルを踏むことになる。
ブレーキは大変良く効く。
メーターの表示が見難い。(特にタコメーター)
(注:ハンドルに隠れるためではなく、メーターパネル自体の表示が見難い)
LOCK TO LOCKはもう少し少ないほうが良い。シフトパドルは改良形状で問題ない。
セミATタイプのシフトレバー問題の対策の効果についてのコメント。

対策内容の効果について
冷却性は、前回のテスト時にオーバーヒート気味になり、ラジエター周りのシールの強化を行っておいたがが大きな効果は無く、再度オーバーヒートに見舞われた。
(1) ラジエタースペックの見直し
(2) カウル内、エンジン周りの温度を篭らないようにする。
(3) キャブセッティングの最適化等の対策を次回テストまでに行う必要がある。
ギヤレシオ
2速から4速をフルに使用できるようにギヤ比を見直したが、実際にはヘアピンでも3速で走行可能となり、ベスト時にはストレートエンド以外は3、4速のみで走行していた。ドライバーは特にレシオについて不都合はないとの事だったが、もう少しハイギヤードな仕様がこのコースに適しているかもしれない。
ステアリングまわり
今回織込んだシフトパドルの大型化はタイムアップに大きく貢献し、"コーナーリング時にもシフトチェンジができるようになってコーナー脱出が速くなった"、とのコメントを得た。また、懸案だったタイトターンでのステアリングの切り角を減らすことについては、タイロッドのポイントを後ろ側に移したことによりかなり効果があり、問題のないレベルまで改善できたことを確認できた。

新たな不具合および今後の改良点
クラッチの戻りの強化
ドライバーコメントにも有るように、クラッチの戻りが悪い為、コーナー立ち上がりのシフトアップ後のアクセルON時に半クラッチ状態になることが明らかになった。暫定対応として、スプリングをクラッチの戻り側に取り付けると、かなり症状が改善されたが、まだコース上の2箇所程度で同じ症状が出ていた為、その原因と更なる戻り強化策を検討する。
エンジンの吹け改善
高回転域(10000rpm以上)でエンジンがきれいに吹けていないようで、プラグも黒くススけていた。電気系、点火系、スロットル周りを再度チェックする。
また、合わせてキャブのメインジェットの最適化を検討する。
メーターのトラブル
(1) バー表示のタコメーターの高回転域側の表示がおかしい。
(2) タコメーターのレスポンスが悪い。
(3) 水温計が水温とリニアに表示しない。
(4) バックライトが薄く、表示内容が見難い等の不具合が発生した。
ステアリングレシオの再検討
今回の対策によってかなり切れ角が改善されたが、タイトターンではまだ手が完全にクロスしてしまうようであった。また、現状ではタイロッドの後退角がほぼ限界であるため、次回テストにはステアリングラックのギヤ比を下げたものを織込む。
燃料系(シェイクダウンテスト時よりの問題:エンジンの高回転の吹けが悪い)
走行途中にエンジンが吹けなくなってピットインしたが、何れもガソリンのコレクターを確認したところ空になっていた。しかし、タンクにはほぼ半分近くガソリンが残っており、さらに数リッター補給すると問題なく走行可能となった。これらの事より、ガソリンが残っているにもかかわらずガス欠症状が発生していると考えられるため、原因を追求し、対策方法を検討する。

以降、テストは続きます。次回テストは、同じく琵琶湖スポーツランドにて4月初旬実施予定。

UOVA(PROTO一TYPE)Specificacion
ディメンション 全長
全幅
全高
ホイールベース
トレッド(フロント)
    (リア)
3050mm
1400mm
1020mm
2000mm
1227mm
1178mm
ウェイト 340kg
フレーム スチールチューブラースペースフレーム
エンジン型式 HONDANC23E(水冷、4、DOHC)
排気量
最高出力
最大トルク
エンジン型式

フレーム型式
399cc
53ps/11000r.p.m.
3.7kgm/10000r.p.m.
NC23E- 139872
(1992-1993)
NC31-1026710
ギアボックス 6スピード、シーケンシヤルシフト
チェーンドライブ、リミツテドスリップデフ
サスペンション フロント、リア、ダブルウィッシュボーン
可変バルブ付ダンバーユニット
フロント、リア可変スタビライザー
タイヤ AVON製(フロント) 6”×19.5”×13”(A27)  
(リア) 8”×19.5”×13”(A27)  
ボディ FRP製1ピースカウリング
セフティ タカタ製フルハーネスシステム
その他 セルスタータ装備
 
UOVA(PROTO一TYPE)