Mar.31.2000 F3 合同テストレポート

[10]号車 セバスチャン・フィリップ

[11]号車 井出 有治

FROM THE TOP

[10]号車 セバスチャン・フィリップ
[11]号車 井出 有治



鈴鹿テスト コックピットのF300とF399


はじめに

過去5年間、(株)無限の協力を得ながら全日本F3選手権シリーズを戦ってきた童夢F3チームは、2000年シーズンに向け、新たな変換点を迎えた。これまで有望な日本人若手ドライバーを起用し、現在トップカテゴリーにて活躍する選手たちを輩出してきた。本年も日本人若手ドライバーの起用に変わりはないが、2台体制とすることによって、国籍にとらわれない選手選定を行い、ここ数年遠ざかっているタイトルをなんとしてでも取り戻すことを最大の目的とした。
1台は昨年全日本F3選手権にフル参戦し、優勝はなかったものの何度も表彰台にのぼり、安定した力を示したセバスチャン・フィリップ。もう1台は昨年のフォームミュラ・ドリーム(FD)チャンピオンの井出有治で、FDからのステップアップであるが、過去にF3を含め多くのレースを経験している。
使用する車両は、S.フィリップがDallaraの2000年モデルF300、井出有治が昨年、金石年弘がドライブした99年モデルF399である。F300は年明け早々に到着し、充分な準備期間を得ていたが、多くの部分に手を加えた童夢仕様とする為、組み立てには市販マシンと思えないほど多くの工数を費やした。
F399は基本構成がF300と同じである為、サスペンションやボディーワークを最新式にすることにより、F300と同じ仕様とすることが出来る。ただしアップデートキットの到着が予定より遅れ、第1回テストのみ井出選手は昨年モデルのままの走行となるが、第2回テスト以降、両選手は細部を除き全く同じ仕様の車をドライブすることとなる。


鈴鹿テスト
(3/13〜14、F3協会、F3エントラント協会合同テスト)

[10] S.フィリップ

初日、走行開始直後ECU(Engine Control Unit)のトラブルによりエンジンが吹けあがらずECUを交換したところエンジンは復調した。ハンドリング的には「リヤは比較的安定しているがタイトコーナーのターンインでアンダーがでる」とのことだった。午前中の終盤「コーナーを立ち上がった後もブレーキを引きずっている感じがする」とドライバーが訴えた為、ロガー(車載計測器)のデータをチェックすると明らかにストレートでもブレーキを引きずっていた。午後は午前より路面が良いようでタイトコーナーでのアンダーが若干減っていた。その後、フロントフラップ及スタビライザーを調整しNEWタイヤを履いたところでこの日のベストラップ1'59"46をだした。
2日目は、車高を下げ、フロントキャンバー、フロントダンパーを調整して走行を開始した。ドライバーはアンダーを訴えたが昨日より路面が良いのか、100km以上走ったタイヤで59秒台後半のタイムを立て続けに出した。その後、47kmほど走行済みのタイヤに履き替えフロントフラップ少し立てた結果若干アンダーが解消され、最終的に午前中のベスト1'59"39を出した。
2日目の午後は、来年に向けて新しく設計されたタイヤを試す運びとなった。セッティングは変更せずに走行したところ、極度にオーバーステアな車になったが全体のグリップが増えているせいか1'58"85のタイムをだした。その後、ノーマルNEWタイヤとの比較を行なう予定だったが、度重なる赤旗中断とその後降り出した雨によってここで中断を余儀なくされた。

[11]井出有治

前回テスト終了後からのインターバルが短く、大掛 かりな変更を加えることは出来なかったが、限られた作業時間を最大限に活用して、ウィンドスクリーンやクラッチペダルの形状の小変更などを行い、本番レースを控え、作業はより細かな部分にまで至った。走り出しセットアップは前回のドライ仕様と同じとした。問題であったS字区間でのアンダーステアは今回のほうが強くなる。
1日目、セッティングを試みるものの解決に至らなかった為、2日目よりフロントスプリングを交換する。このことで[11]号車と[10]号車は全く同じセッティングとなる。スプリング交換の効果は大きく、アンダーステアは残しているものの、フロントの入りは大きく改善される。まだ満足のいくハンドリングとは言えないものの、ECUトラブルで周回をこなせなかったセッションを除き、安定して上位に付けることが出来た。

鈴鹿テスト コックピットのF300とF399

3/13 AM 3/13 PM
荒聖治 2.01.5 井出有治 1.59.3
佐々木孝太 2.01.6 S.PHILIPPE 1.59.4
S.PHILIPPE 2.01.8 黒澤治樹 1.59.7
井出有治 2.02.0 高木真一 2.00.7
下山征人 2.02.2 B.TRELUYER 2.00.8
荒聖治 2.00.8
土屋武士 2.01.7
サトウカイチ 2.01.4
 
3/14 AM 3/14 PM
S.PHILIPPE 1.59.2 S.PHILIPPE 1.58.93
荒聖治 1.59.3 井出有治 1.59.53
井出有治 1.59.9 荒聖治 1.59.82
黒澤治樹 2.00.1 奥岡 2.00.48
佐々木孝太 2.00.5 佐々木孝太 2.00.86
高木真一 2.01.0 黒澤治樹 2.00.93
R.LECHNER 2.01.0 土屋武士 2.00.95
下山征人 2.01.0 高木真一 2.01.04