May.10.2000 童夢50%スケール風洞実験設備のデザインが決まりました。

計測室 ・ 会議室

主送風機

冷却 ・ 整流部

モデル準備室

上から

計測室 ・ 会議室
主送風機
冷却 ・ 整流部
モデル準備室



童夢50%スケール風洞実験設備 全体図


この度、今秋完成予定の童夢50%スケール風洞実験設備の最終的なデザインが決定しましたのでお知らせします。
今年の初めのプレスリリースに添付したイラストは仮のもので、その後、外装や内部レイアウトのデザイン作業を進め、先頃やっと最終図面が完成し、同時に建設業者への見積り依頼や各種許認可の申請等を進めていましたが、この連休明けに全ての事前作業、手続き等が終了し、5月20日の着工が決定しました。
これは昨年来のスケジュールにのっとったもので予定通りの着工となる上、初期の設定より外溝工事の手間が軽減される事や、風洞本体の仕様が比較的早期に決定した為に各部品の製作が予定より短縮される方向である事等から、全体の完成も充分に予定内に納まるものと安心しています。さて外観ですが、今までの京都宝ケ池の社屋や現在の大原の社屋のように、私が自ずからデザインすると言い出すのを露骨に恐れる取締役連中の気持を察して、今回は初めて建設デザイナーという職業の方にお願いする事にしたのですが、何しろ初めての事なので誰に頼んだら良い物やらさっぱり見当が付きません。
そこでいろいろ建築の本を見ているとやたら屋根のラインをウイング風にデザインしているデザイナーが印象に残りましたので、とりあえず一度会ってみる事にしました。
有限会社葉山建築設計事務所の代表葉山勉氏は童夢の事を良く御存知で「いかなる条件でもぜひやりたい仕事だ」とおっしゃって頂いたので、さっそくお願いする事にしましたが、私は彼のデザインが気に入ったのであって「いかなる条件でも」という部分に惹かれた訳では決してありません。
しかし、この世界も結局レーシングカーと同じで、良い物は高いし、安い物はそれなりで、結局、スタイリング等というような華麗な作業はどこへやら、いかにクオリティを維持したままコストを目標まで下げるかという作業に終始してしまったような感じで、葉山デザイナーの実力を充分に発揮できなかった点は大変に申し訳なく思っています。
イラストからも眼に付く点では非常にオープンな外溝(=壁の分コストダウン)や緑地を重視した庭部分(=舗装費削減)のように全てのデザインはコストダウンから導き出されていると言っても過言ではありませんが、反面、風洞を支える基礎部分や騒音防止の為の対策等、眼に見えないところには必要以上に気を遣っている事も確かです。
内部のレイアウトは何しろ風洞がでかいものですからスペースには充分に余裕があり、計測室を中心に設計室や作業室、ミーティングルームやモデル倉庫等がゆったりと配置されています。
特に作業室や倉庫はクライアント用を別途に設け、機密性の高い作業にも充分に対応できるように配慮されています。
では5月20日の着工後、あらかた形が見えかけてきた頃にまた写真などを添えて中間報告をさせて頂きます。

株式会社 童夢 林 みのる

 
童夢50%スケール風洞実験設備 全体図