本年5月に着工し、建設を進めていました50%風洞実験施設が11月27日に無事竣工しました。
「風流舎」と命名された施設は、自動車用模型風洞実験施設としては国内最大規模で最新鋭の設備内容を誇ると共に、レーシングカーコンストラクターである童夢の21世紀のレーシングカー開発に、更なるアドバンテージをもたらすように、今後考え得る先進的な実験をすべて考慮した設備となっています。
また、受託試験や設備の専有使用貸出に備えて、機密保持のうえからも安心してご利用いただける施設として相応しい最新のセキュリティーシステムを採用しています。
■設備の特徴
施設構造
鉄骨鋼板構造(板厚9o)、風管長99mの水平回流式ゲッチンゲン型設備をすべて屋内に設置することによ り、安定した気流温度の制御や周辺への防音にも配
慮した実験環境並びに周辺環境を重視した構造となっ ています。
計測胴
幅2.75m、高さ2.5mと、F1レーシングカーや類似車輌の50%スケール模型の風洞実験に十分な断面とし ています。また、長さ8mと、タンデムライドによる実験も考慮した十分な長さを確保しています。
主送風機
軸流式で、最大風速60m/sまで安定した送風が可能です。
縮流胴
8.3という、大きな縮流比により良質な気流と均質な温度分布を確保しています。
クーリングシステム
25±1℃(風速45m/s時)という、安定した計測を行うのに十分な気流温度制御が可能なクーリングシステム を装備しています。
ムービングベルト
計測胴下面に、幅2m、長さ5.5mのムービングベルト(バキューム付)を装備しています。ベルト速度は、最 大風速の60m/sまで運転可能な国内最速の性能を誇っています。また、前方には境界層吸込装置を装備し
ています。±5゜の偏ヨー角実験にも対応できるように、装置全体をターンテーブルを介して床面に設置すると 共に、これらの実験に対応したタイヤアーム等の付属機材も取り揃えています。
モデル支持
モデルは上下ストラット方式で、計測胴上方に配置された独立した堅牢・重厚な架台から支持します。また、 架台はタンデムライドに、モデルストラットは吸気・排気実験に、それぞれ対応可能な構造としています。
計測装置
6分力天秤はモデル内臓式を採用しています。ピッチ、ロール、ヨーの3軸まわりの姿勢と車高が調整できる 位置制御機能も備えた最新の装置です。
■付帯設備の充実
計測室
ムービングベルト面の真横から目視観察し易いステップ式レイアウト、全面ガラス張りの計測胴との隔壁、大 開口ドアによる計測胴との一体化により、視認性、作業性に大変優れた計測室となっています。また、3連オ
ーバーヘッド大型モニター設備、PRO/E・CATIA等のCAD設備等、充実した設備により効率的な実験が 行えます。
準備室
機能的に配置された作業台と収納器具、精度のよいモデル調整・組立作業を行うのに不足のないレイアウト マシン・定盤、大型モデルも楽々収納できる隣接した保管庫等、装備が充実した準備室を用意しています。ま
た、明るく、広々とした室内は、ハードな実験作業にゆとりを与えます。
その他
オーディオ・ビジュアル機能が充実した会議室、各種工作機械を設備した工作室等、実験に付随する周辺作 業も施設内で一貫して行えるように設備を整えています。
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