Jul.01.2005  株式会社 童夢コンポジット・タイランド設立のお知らせ





 

 


このたび、童夢とSAHAグループは、カーボンコンポジット製品の開発・生産を目的とした「株式会社 童夢コンポジット・タイランド」(DCT)を設立することになりましたのでお知らせします。

DCTは、童夢とSAHAグループの合弁会社であり、シラチャ・ワコール(タイ、シラチャ)の一部工場を本社としてスタートします。

童夢は、今年で創業30周年を迎える、東洋では唯一の本格的なレーシングカー・コンストラクター(レーシングカーの開発、製造およびレース活動)ですが、早くから、現在のレーシングカー開発に必要不可欠な先進的なテクノロジーである、「空力開発」と「カーボンコンポジット」の重要性に着目し、独自に研究開発に取り組んできました。特に、カーボンコンポジットに関しては、素材メーカーとしては世界でもトップクラスのTORAY、三菱レーヨンなどと協力して、レーシングカーに必要とされる複雑で高性能なカーボンコンポジット製品の開発技術を育成してきました。そのため現在では、レーシングカーのカーボンコンポジット・パーツに関しては、ヨーロッパのトップクラスのメーカーを凌ぐ技術力を誇っていますが、近年は、そのカーボンコンポジット開発技術の一般産業分野への進出に力を注いでまいりました。

そうなると、次に問題となってくるのは製造コストですが、製造に高度なテクニックが要求されますので、単に人件費が安いだけでは条件が整いません。

童夢では近年、中国、マレーシァなどの技術環境を調査してきましたが、その結果、タイが最適であるとの確証を得ましたので、かねてよりの知己であったSAHAグループの李会長に相談したところ、この事業に非常に興味を持っていただいたことから話が発展して、このたびの合弁会社、DCTの創立に至りました。

カーボンコンポジットと呼ばれるCFRP(炭素繊維強化プラスチック)は、現状、一般的に入手可能な工業材料としては、最も軽量かつ高剛性な材料です。それは最低の重量と最高の強度を求めるF1マシンのモノコックシャーシの100%がCFRP製であることからも明白です。そして今後、その特性を活かし、レーシングカー以外の自動車や航空機、産業用ロボット等、高性能、高機能を追求する産業分野での需要はますます拡大してゆくことが見込まれています。

このように、今後への期待の大きいカーボンコンポジットですが、工業製品としては、ほとんどの場合、CFRPと金属部品の複合物となるために、高度な設計技術無しには開発は不可能です。加えて原材料が大変に高価なので、自ずから製品も高価になってしまいます。
しかしDCTでは、童夢の高度な開発技術力とタイでの合理的な生産システムの融合により、これらのカーボンコンポジットのウィークポイントを大幅に解消することが出来るものと考えております。

この合弁事業で最も重要な課題である生産技術者の育成に関しては、DCTの社員を、事前から日本の童夢グループで技術研修を行うことによって育成すると共に、童夢の技術スタッフがDCTに常駐することにより、操業3年目には100名以上のタイ人「コンポジットテクニシャン」を擁する予定としています。
また将来的には、コストダウンの一環として、日本から冷凍輸送しなくてはならない樹脂を含浸させた原材料「プリプレグ」をタイ国内で生産する予定であり、これにより、技術レベルだけではなく、価格的競争力においても、大変に優位な展開が期待できるものと考えています。

本社工場の改装は現在進行中であり、本年度内の操業開始を予定しています。

株式会社童夢コンポジット・タイランドの概要

商号  株式会社童夢コンポジット・タイランド
    (DOME COMPOSITES THAILAND CO.,LTD)
資本金 20,000,000バーツ
業態  株式会社童夢とSAHA GROUPの合弁会社
本社  173/2 Moo 5, Sukabhibal 8 Rd., Boung, Sriracha, Chonburi