Apr.13.2006  「大盛況でした。DOME桜FESTA」


DOME RACING VILLAGE


当日の様子


風洞実験の
デモンストレーション


レーシングガレージの公開


オートクレーブ室


カーボン作業の実演


3D計測の
デモストレーション


引張り・圧縮試験機の
デモストレーション

















花束贈呈1


花束贈呈 2



サッカーボールカラーの牛


マシンのカラーリング

 

お茶席 1


お茶席 2


Cafe Win


おみやげ屋


「茂山千五郎家」の狂言


芸妓さんの舞


舞妓さんの舞

●DOME RACING VILLAGE誕生
新社屋公開に際して、いろいろな方からお祝いを頂くことが予想されましたが、中国製の大きな灰皿とか安物の花瓶とか、それらのお祝いの中には不要なものも多くもったいないので、お祝いをいただけそうな方々には、前もって桜の苗木の寄贈を依頼していました。つまり、桜の苗木をくださいと強要したわけですが、その依頼書には、しょぼい苗木3万円、そこそこの苗木5万円、立派な苗木7万円のいずれかとあり、寄贈していただいた方はその中からチョイスできるようになっていました。しかし、実はこれは林みのる独特のジョークで、実際、用意してあった苗木に格差はありません。銘石、植栽を含めた原価は10万円以上なのですが、会社によっては、取引先の新社屋竣工祝いは3万円と規定されていることも多く、これは、林みのるなりの、そういう会社の担当者への配慮だったのですが、依頼書を送付してから、どれを選ぶべきかと言うような話題が飛び交い、ちょっと冗談ですと言える雰囲気ではなくなってきました。そこで、できるかぎり大中小と分けようとしたのですが、苗木を用意してくれた河本さん(アヤハディオ)も、なるべくサイズを揃えるように努力していただいているので、分けようがありません。しかし、結果的に、しょぼい苗木を指定してきたのは一社だけだったので、一つだけあった小ぶりの苗木を割り当て、その他は、枝振りを見ながら、なんとなく大きそうな苗木とかちょっと枝がしょぼそうとかで振り分けましたが、現在、クレームはついていません。
桜は、想像以上に幅広く成長するので、考えていたほどには植えられず、最終的に合計54本の苗木を植栽しましたが、かなりのお申し出をお断りしなくてはならない結果になり、申し訳ありませんでした。
その桜が咲くであろう日を選び今回の新社屋お披露目の日取りを決めましたので、その名も「DOME桜FESTA」と名付けたイベントとなりました。
 
2001年より米原には、童夢の風洞である「風流舎」がありました。中核である「童夢本社」は京都市左京区の大原にあり、カーボンファイバー部門の株式会社「童夢カーボンマジック」は静岡県の三島市にありましたから、童夢グループは3カ所に別れて仕事を行っていたわけです。
規模が大きくなるにつれ、これでは、さすがに不便を感じるようになったことと、「童夢本社」は、名刹三千院のある大原にありましたから、京都といえども、京都駅から40分あまりもかかり、取引先からは不評でした。そこで、敷地的に余裕があった「風流舎」のある米原工業団地に総てを集約することとなりました。
 「風流舎」の直ぐ隣に童夢の新社屋、そのまた隣に「童夢カーボンマジック」が建設されました。風流舎を含めると、敷地の総面積は27,600u(8,350坪)ありますが、のり面を除いた有効面積は19,200u(5,800坪)。総建設面積5,500u(1,670坪)。総床面積9,250u(2,800坪)という規模です。レース関係から見れば巨大施設、航空関係から見れば物置小屋みたいなレベルで、要するに、視点により大きいとも小さいともいえる微妙な大きさです。 2月から徐々に業務移行を開始し、現在は全ての業務を新社屋で行っていますので、現状では、京都にあった「童夢本社」、三島の「童夢カーボンマジック」での業務は終了しています。
童夢グループの総てが一箇所に集結したことから、ここを「DOME RACING VILLAGE」と名付けることにしました。

4月11日、明日の「DOME桜FESTA」に向けて、着々と準備が進む中、大事件が勃発しました。突如、吹き荒れる突風と共に横殴りの雨が、まるでのた打ち回る大蛇のような波紋を残しながら地面を這いずり回っています。童夢から風流舎に向かっても、体が風で流されるためにのこぎりのようにしか進めません。春の嵐と言うには物凄すぎる、まるで童夢の将来を暗示するような不吉な天変地異というショッキングな状況でしたが、そのうち、童夢と風流舎の間に設営中の巨大なテントが、大きな音を立てながら崩壊を始めました。テントと言えども、直径15センチ以上のスチールフレーム構造の700人を収容する大テントですから、その大テントのフレームがバキバキと音を立てて折れ曲がりながらテントが崩壊していく様は、明日の心配以前に、大惨事という感じで、社員一同、固唾を呑んで見守るしかないような状況でした。
暗くなってから、ぺしゃんこになってしまったテントの前で途方にくれていましたが、とにかく、舞台の設営は必要不可欠なので、オートクレーブ室にスケールダウンした舞台を移設し、崩壊したテントは片付ける方向で何とか作業を開始しました。設備会社の徹夜の努力により、朝方までに全ての作業は終了し、天気も曇りながら雨は止んでおり、12日の当日は、まるで何事も無かったようにお客様をお迎えできるようになっていました。
 しかし、この日の出し物の為に、桜などをあしらった豪華な舞台を用意していた林みのるは、雨に濡れて使い物にならなくなった舞台装備を見ながら、かなりがっかりしていたようで、この事件により、かなりテンションが下がってしまったということです。
そんな事件は何も知らないお客様は、朝から続々とお出かけいただき、午前中だけでも300人以上、終日では、約1200人の方にご来場いただくほどのにぎやかな一日になりました。

●赤いちゃんちゃんこを着た林みのる
 「DOME桜FESTA」と名付けたように、新社屋のお披露目だけでなく、幾つかの発表とイベントも行いました。「童夢」及び「童夢カーボンマジック」の新社屋竣工報告に続く2つめのイベントは、童夢カーボンマジックと共に仕事を行う童夢コンポジット・タイランド設立の発表が行われました。3つ目のイベントは、昨年の7月に林みのるは還暦を迎えましたが、もともと林みのるは、この日に合わせて新社屋を建設し、まとめてお祝いをしょうと考えていました。ところが、建設はどんどん遅れ、還暦祝いは置き去りになっていってしまいました。
そこで、一年遅れながら本来の計画通りに還暦祝いを組み入れることになり、花束贈呈が行われました。
しかし、ここでも問題が発生。直前になって、林みのるは、ありきたりの赤いちゃんちゃんこなんか着るのは嫌だと言い出し、急遽、モチュールからコスチュームを提供していただくことになりました。まずTAKATAのレースクイーン、先斗町の芸妓さん、そして、林みのるの奥様である洋子さんから花束をもらった、林みのるの満面の笑みをご覧ください。

●今年のルマンはRacing for Hollandと共に
4つ目のイベントは、今年のルマンプロジェクトの正式発表が行われたことです。内容的には、既に発表しているものと変わりません。しかし、LMSイスタンブールから直接ヤン・ラマースが駆けつけ、正式に参戦発表が行われました。既報通り、童夢は、新しいS101-Hbiとスペアパーツを貸し出し、それをヤン・ラマース率いるRacing for Hollandによって走らせます。レースオペレーションだけでなく、搭載するエンジンの選択、そしてドライバーとの契約もRacing for Hollandのディレクションで行います。ヤン・ラマースは、2006年のマシンに、サッカーボールのようなカラーリングを施した理由を、ヨハン・クライフ・ファンレイションと契約したことと説明しています。カラーリングを説明するため、サッカーボールカラーの牛を持ってきていました。


●これぞ京都
最後のイベントとして、林みのるは、アッと驚く趣向を用意しました。
林曰く「身体は米原でも、心は京都から離れてない」ため、今回の「DOME桜FESTA」では、京都の舞妓さんによるお茶のサービス、京懐石「新月」による食事のサービス、そして、京都名物を販売するおみやげ屋も用意しました。みやげもの屋で販売される京やさいは今朝収穫したものばかりでした。また、林みのるは京都の伝統芸能を披露しようと考え、友人である「茂山千五郎家」の狂言と、夜な夜な徘徊している先斗町の芸妓さんや舞妓さんによる京舞を用意しました。
ところが、前日の突風によるテントの崩壊で、用意してあった立派な舞台を失ったため、急遽設営された「童夢カーボンマジック」のオートクレーブ室に臨時舞台を設え、そちらで狂言や京舞を行うこととなりました。
 狂言は、今後の童夢の明るい未来を象徴するように「末広かり」を披露していただきました。最後のイベントは、これまでの林みのるの多大な投資によって実現した、先斗町のお姉さま方による京舞です。
芸妓さんによる「京鹿の子娘道成寺」より「花笠」、続いて舞妓さんによる「祇園小唄」と「鴨川小唄」を披露して頂きました。趣向を凝らした本格的な舞台が倒壊して、林みのるのテンションはかなり下がっていましたが、その頃になると、やっと元気を取り戻してきたようで、17:00の閉会まで、多くの人と歓談を続けていました。
テントの崩壊を目の当たりにしているときは、何でこんな不幸な目に合わなくてはならないのだと嘆いていましたが、もし、これが当日だったら大惨事になっていた訳で、結果的に考えると、やっぱりツイていると思わざるを得ません。1200人を超す来客をお迎えして、大盛況のうち「DOME桜FESTA」は終了することとなりました。茂山家狂言のように、童夢の未来が、末広がりであることを願っています。