May.05.2005  SUPER GT Rd2 FUJI GT500kmレースレポート2

05nsx

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決勝レースレポート
SUPER GTシリーズでは、標高の高い(つまり気圧が低い)地域で行われるレースの場合、NAエンジンに対して、1段階大きなリストリクターの使用を許しています。
現在のNSX-GTはターボエンジンを搭載していますから、スープラに対して、さらに大きな出力差を抱えることとなってしまいます。ストレートスピードが重視される富士スピードウェイでは絶望的な状況です。
それでも、No.8 ARTA NSXは予想を上回る2列目のスタートポジションを確保しましたが、予選を失敗したNo.18 TAKATA童夢NSXには全くチャンスが無いため、我々は少々、悪あがきでもしてみようということになりました。
レース序盤の車間が詰まった状態の間に少しでも前に出ることは重要です。レースが落ち着いてから一台づつ抜いていくことは不可能ですから、燃料を少なくしてソフトタイヤでスタートするという作戦を実行しました。
2列目グリッドからスタートしたNo.8 ARTA NSXは、序盤NAエンジンを搭載するスープラの激しい攻撃に晒されます。ラップタイムそのものは変わらないのですが、1段階大きなリストリクターを装着したスープラは、約12km/hも速いストレートスピードを活かして楽々とNSX-GTを抜きにかかります。もちろん、No.8 ARTA NSXを操るラルフ・ファーマンはブレーキングで挽回して、しばらくの間激しいバトルが繰り広げられました。
しかし、ストレートスピードが12km/hも速い相手と闘うには限界があります。ラルフ・ファーマンの頑張りも限界となって、スープラに道を譲ることとなりました。しかも、スープラとの無理なバトルによってタイヤを痛めてしまったことから、その後、No.8 ARTA NSXはラップタイムを落としてしまいます。そのため、32周目、予定より早めにピットインしてタイヤを4本交換すると共に燃料補給を行いました。
序盤ぶち抜き作戦のNo.18 TAKATA童夢NSXは、またもや無理がたたり調子を崩して追い上げがままなりません。そこで、34周目、早めに1回目のピットストップを行い、少なめの給油だけでなく、リアタイヤだけを交換する、ショートピットストップで順位を挽回する作戦に出ました。その後、道上はそこそこ速いラップタイムを記録するようになり、No.8 ARTA NSXと前後して走るようになりましたが、2回目のピットストップの際、No.18 TAKATA童夢NSXはドライバー交代に手間取って、2回目のスティントの周回数を多めに取ったNo.8 ARTA NSXと順位を入れ替えました。
しかし、No.8 ARTA NSXは、No.100RAYBRIG NSXとバトルを展開しながらの走行となったためラップタイムが延びません。それに対して、道上龍から小暮卓史に交代したNo.18 TAKATA童夢NSXは、単独走行となって、1分35秒台の好タイムで追い上げていたため、レース終盤3台のNSX-GTが、テイルtoノーズのバトルを展開する可能性もありましたが、結局そのままの順位でフィニッシュしました。
要するに、どんな作戦を採ったとしても、現在のNSX-GTの実力はこの程度だよという結果でしたが、DUNLOPタイヤを履く、No.32 EPSON NSXのがんばりは予想外です。昔、F3000時代にさんざん苦労させられたタイヤですから、しばらくは低迷するものと判断していましたので意外です。このDUNLOPのがんばりはルマンでDUNLOPを使用する我々にとっては興味深い出来事ですが、少なくとも、NSX勢の中では常に上位をキープする義務を負う我々にとっては痛し痒しと言うところで、目が離せません。
スパに続く今回の悲惨な結果は、スパとは内容において少し異質なものではありますが、失敗には変わりありません。反省すべきことは山ほどありますが、まともな努力では一桁内での入賞が精一杯の状況において、少なくとも3位、あわよくば優勝を目指すためには、大変な無理を重ねるかギャンブルに出るか神に祈るかしか方法は無いでしょう。そういう意味において、今回の結果は当然の帰結と言わざるを得ません。

決勝レース結果
8位 No.32 EPSON NSX(DUNLOP)
11位 No.100 RAYBRIC NSX
12位 No.8 ARTA NSX 
13位 No.18 TAKATA童夢NSX