2008.Jun.02 LeMans TestDay Report1













鈴木英紀レポート

これまでS102は、速く走るためだけでなく、24時間にわたって確実に速さを発揮することを目標として開発が行われています。総ての開発を同時に進めることは出来ないため、10日前に行われたスパ-フランコルシャンテストの後、予定されていた電装系の変更が行われました。新しい電装系は重くなるため、昨日行われた車検の後、バラストを減らすと共に、車重と重量バランスの調整を行いました。

昨日の激しい雨は、パドックとテクノパルクを結ぶトンネルを水没させる一方、インディアナポリスと第1シケインを水浸しにして、明け方やっと止みました。しかし、何時雨が降り出しても不思議でないような空模様の中、2008年のルマンのテストディはスタートしました。

雨は止むと、水浸しだったインディアナポリスや第1シケインの水は直ぐに引きました。しかし、ウェットコンデションであることは変わりませんから、全車レインタイヤを装着して走り始めました。

S102に乗り組む3人のドライバー達は、総てがルマン初体験であるため、3人共10周の義務周回が要求されています。童夢では、クルマのセッティングも同時に進めることを考慮して、最初1人5周ずつ周回する予定でした。しかし、空模様はもちろんですが、コースコンディションが不安定であるため、状況に応じて、予定を変更すること前提として、最初に伊藤大輔が乗り組んで走り始めました。

2周走ると、伊藤大輔はピットに入ってきました。各部をチェックして、再びコースインしようとすると、心配されていた雨が降り始めました。セッティングを行うようなコンディションではないため、予定を変更して、3人のドライバーの義務周回をクリアすることとなりました。
そのまま伊藤大輔が乗って、義務周回を終了すると、続いて立川祐路が乗り組んで、10周の義務周回を行いました。雨は断続的に降り続きましたが、3人目の片岡龍也が乗り組む頃になると、雨は止んで、太陽が顔を出してきたため、急激にコースは乾きました。

セッティングがまとまっているクルマの中には、早くもスリックタイヤに交換するチームも出てきました。残念ながら、午後、昨日のような豪雨となる可能性もあったことから、片岡龍也の義務周回を優先させ、そのまま走行を続けて、午前中のセッションを終了しました。

1時間のランチタイムの間にどんどんコースは乾きました。そのため、午後のセッションはドライコンディションでスタートしました。
もちろん、スリックタイヤを履き、伊藤大輔が乗り組み、やっとセッティングを施すチャンスがやってきました。伊藤大輔は、計測2周目、7番手に相当する3分38秒773を記録しました。そのまま3周目に入りますが、遅いクルマに行く手を遮られてしまい、ピットに入りました。
セッティングを変更するため、ピットインしている間、クラッシュしたGT2クラスのクルマを回収するため、赤旗が提示されました。そのため、1時間ほどセッションは中断されました。

今年のルマンは、天気の女神にご機嫌を損ねているようで、この赤旗によってセッションが中断されている間、再び雨が降り始めました。午前中と違って、雨脚は強く、義務周回を終了したチームの多くは、一旦走行を取り止めました。S102も、一旦コースインしましたが、直ぐにピットに戻ってきました。
30分ほどで雨は小降りとなって、再び太陽が顔を出しました。しかし、午前中と違って、コースが完全に乾くほどではないようです。

午後のセッションがスタートした時、いち早くタイムアタックしたクルマだけが、好タイムを記録しただけで、童夢も含めて、たくさんのチームはフラストレーションがたまっているようですが、このコンディションでは、これ以上タイムアップすることは不可能です。
そのため、タイムアップを諦めて、残りの時間を使って、ウェットコンディションのセッティングを煮詰めることとなりました。

童夢にとって、今年のテストディは、未消化のまま終了しました。しかし、たくさんの課題も見出されたようです。童夢のエンジニア達は、たくさんの宿題を行わなければならないようです。