2008.Jun.12 LeMans 24h Race Report2











鈴木英紀レポート

最初の予選を迎えたルマンは、朝から太陽が顔を出し、どんどん気温が上昇しました。午後5時には28度を記録しますが、昨日と違って風があるため、ヨーロッパらしい爽快なコンディションとなっています。

しかし、天気予報によると、この天気は今日限りで、明日の午後には雨が降り出すことが予想されています。そのため、今日行われる1日目の予選でスターティンググリッドが決定するかもしれません。
童夢も、今日行われる2回のセッションで集中してタイムアタックを行う作戦を立て、アタッカーとして伊藤大輔を指名しました。

午後7時最初の予選が開始されると同時に、伊藤大輔が乗り組んだ童夢S102は真っ先にピットを離れました。サルテサーキットは、コースのほとんどが、(つい4時間前まで)一般のクルマが走っていた公道です。そのため、コースコンディションが判定し難いことから、いきなり予選タイヤを履くのでなく、童夢はS102にレース用のソフトタイヤを装着して伊藤大輔をコースに送り出しました。

数周周回して、伊藤大輔はピットに戻ってきました。サスペンションやブレーキに様々なセッティングを施して、コースに戻りました。細かいセッティングを行うため、ピットインを繰り返した結果、次第にセッティングはまとまってきました。

そこで、1セット目の予選タイヤを投入することとなりました。まだ気温が高いことから、ハードの予選タイヤを選択しました。
伊藤大輔は、慎重にタイヤを暖めて、アタックラップに入りました。セクター1とセクター2を、素晴らしい速さでS102は駆け抜けました。

しかし、少々タイヤの暖まり方が早かったようです。セクター3に入ると少しずつ遅れるようになりました。それでも、インディアナポリスまで、順調に走りましたが、インディアナポリスの進入で、遅いクルマの集団に行く手を塞がれてしまいました。
アルナージュを立ち上がって、ポルシェカーブに進入するまでに何台かをパスしますが、大きくタイムをロスしまいました。
その結果、3分29秒727で最初のアタックを終了しました。

続いて2セット目の予選タイヤを投入しました。しかし、最も多くのクルマは走っている時間帯であるため、伊藤大輔はクリアラップを得ることは出来ません。サルテサーキットで、最もニュータイヤの効果を得ることが出来る部分は、ポルシェカーブからフォードシケインの間です。しかし、せっかくのニュータイヤでありながら、ポルシェカーブで5台の集団に行く手を塞がれてしまいました。

おまけにインディアナポリスでORECAがコースアウトして、コース上に砂を撒き散らかしたことから、タイムアップは非常に難しいコースコンディションとなってきました。そのまま、午後9時を迎えて、1日目の昼間のセッションは8位で終了しました。

午後10時から行われる、夜のセッションは、気温が下がるだけでなく、開始直後であれば、まだ充分に明るいことから、タイムアタックに絶好のコンディションとなります。
童夢は、気温が下がったため、S102にソフトの予選タイヤを装着して、真っ先にタイムアタックを試みました。

サルテサーキットは、通常のサーキットの約3倍の長さがあるため、予選タイヤの場合、2周程度でグリップが落ちてしまいます。
そのため、1周しかタイムアタックの機会はありません。ところが、急に気温が下がってきたため、ソフトの予選タイヤを使用したにも関わらず、タイヤの暖まりが悪いようです。
アタックラップに入っても、先ほどと違って、セクター1で少々遅れてしまいます。セクター2でタイヤが暖まったようで、速さを取り戻しますが、セクター3で遅いクルマに前を塞がれました。

最初のアタックは、0.375秒だけタイムを更新する、3分29秒352にとどまりました。ところが、タイヤの暖まりが悪かった影響で、もう1周グリップを発揮出来そうです。
伊藤大輔は、そのまま、もう1周タイムアタックを試みます。しかし、1周グリップを維持することは出来ないようです。ポルシェカーブで、またしても遅いクルマに前を塞がれてしまいました。

続いて、4セット目の予選タイヤを投入します。これまでのタイムアタックは、ことごとくセクター3で遅いクルマに前を塞がれたため、コースの混み具合を慎重に見計らって、最良のタイミングでコースインしました。慎重にタイヤを暖めて、アタックラップに入ります。
プジョーやアウディもピットに入っているようで、コース上はガラガラです。伊藤大輔の集中力に期待がかかりました。

絶好のチャンスと思われました。しかし、丁度その頃、ポルシェカーブでモデナチームのアストンマーティンが撒いたオイルにNo.16ペスカロロが乗ってコースアウトしてしまい、赤旗が提示されました。
もちろん、No.11童夢S102のタイムアタックも中止されました。

そのまま走っているのであれば、もう1周グリップを発揮出来るかもしれませんが、走行を中断することで、一旦タイヤが冷えてしまうため、このタイヤは、もうグリップを発揮することは難しいようです。
1日目のタイムアタックは、この段階で終了することとなりました。

赤旗が解除された後、伊藤大輔に代わって立川祐路が乗り組みました。暗くなった後ですが、立川祐路にとって、ドライコンディションで走る初めてのサルテサーキットとなりました。もちろん、決勝レースを想定したシュミレーションのため、立川祐路は連続走行を行います。

立川祐路に続いて、残り20分の段階で、片岡龍也が乗り組みました。もちろん、義務付けられている、3周の夜間走行をクリアするだけの時間しかありません。しかし、1周目、ダンロップコーナの手前でクラッシュしたクルマによって赤旗が提示され、そのまま1日目の予選は打ち切られることとなりました。

1日目童夢S102は8位となりました。同じガソリンエンジンカーでは、僅差の2位です。明日午後5時から7時の間に雨が降ることが予想されていますが、そのまま降り続く訳ではないようです。明日再びタイムアタックを行うこととなります。

No.11 童夢S102/Judd 3分29秒352