2008.Jun.13 LeMans 24h Race Report3












鈴木英紀レポート

天気予報通り、昼過ぎに雨が降り出しました。先週を思い出させるような激しい降り方でしたが、午後2時頃に上がって、晴れ間が見え始めました。直ぐにコースは乾きますが、午後6時にグループCカーの予選が行われる頃となると、再び雨が降る不安定さは変わりません。
少々不安が残る状況で、午後7時2日目の予選が始まりました。

最初、昨日赤旗によって充分に周回することが出来なかった片岡龍也が乗り組んでS102はコースインしました。ところが、2周目に赤旗が提示され、セッションは中断されてしまいます。走行が再開されると、片岡達也は、順調に走行を開始しました。

ルマンの場合、ピットストップ毎にタイヤを交換する訳ではありません。最低でも2スティント、場合によっては4スティントを同じタイヤで走ることとなります。今回片岡達也には、決勝レースを想定したテストを行う任務が与えられていました。
中古タイヤでの操縦に慣れることは重要と判断されたため、少々酷だと思われるかもしれませんが、片岡達也がスタートした際に履いたタイヤは、テストディで使った中古タイヤでした。そして、ピットインした後履き替えたタイヤも中古タイヤです。
もちろん、片岡達也は、無事任務を終了しました。

続いて立川祐路が乗り込みました。しかし、コースが混んでいるだけでなく、非常にコンディションが悪いようです。そのため、No.9プジョーがクラッシュして、その処理を行う前にNo.14クリエイションAIMもクラッシュしてしまいました。その結果、2回目の赤旗が提示されて、セッションは中断されました。他にもコース上にアストンマーティンがストップしているようで、それらを回収するため、予定より20分早い午後8時40分、昼間のセッションは打ち切られました。
午後10時から予定されていた夜間セッションを15分早く開始することで、時間を調整するようです。

しかし、セッションが中断されている間に、どんどん気温は下がってきました。多少コースコンディションが悪くても、素晴らしいラップタイムを叩き出すことが可能となるかもしれません。

午後9時45分、伊藤大輔が乗り組んだS102は、予選タイヤを履いてコースインしました。昨日の経験から、童夢はソフトの予選タイヤを選択しました。伊藤大輔は慎重にタイヤを暖めますが、気温が下がっているため、少々暖まりが遅いようです。
そのまま1回目のタイムアタックに入りました。予想通り、タイヤが充分に暖まっていないため、セクター1で少々遅れてしまいます。しかし、セクター2に入ると、俄然速さを発揮するようになりました。

セクター2に入って、ヤン・ラマースの乗るローラに前を塞がれますが、伊藤大輔の操るS102は、昨日のタイムを約3秒短縮する3分26秒928を叩き出しました。その時点で総合7位、ガソリンエンジンのトップタイムであるだけでなく、6位のNo.1アウディとは0.4秒差です。

続いて2セット目の予選タイヤを投入しました。しかし、伊藤大輔がパドルを操作しても、ギアが落ちません。もちろん、タイムアタックを諦めて、ピットに入ってきました。
次のアタックが最後となります。そのため、3セット目に履き替える際、慎重に各部のチェックを行いました。

No.11童夢S102がピットに入っている間、GT1カーエンジンを積むローラアストンマーティンに抜かれてしまいました。
もちろん、アウディだけでなく、ローラアストンマーティンを打ち破るため、タイミングを見計らって、タイムアタックを敢行しました。
しかし、慎重にタイミングを図ったつもりでも、第2シケインで遅いクルマに引っかかってしまいました。
残念ですが、今年の童夢のタイムアタックは終了しました。

残りの時間を使って、決勝レースを想定したシュミレーションが行われました。立川祐路が乗り組み、レース用のニュータイヤを履き、燃料を満タンにして、走行を開始しました。S102のセッティングが進む一方、ドライバーが慣れたことも理由でしょうが、立川祐路は、レース用タイヤでありながら、何と3分32秒台で走行しています。

ところが、7周目ギアボックスの具合が悪くなりました。立川祐路がパドルを操作しても、まったくギアチェンジを行うことが出来ません。S102は、4速ギアのまま、スロー走行でピットを目指すこととなりました。ところが、インディアナポリスを通過してアルナージュに差し掛かったS102は、突然駆動を失いました。

ピットからの指示によって、立川祐路は、直ぐエンジンのスイッチを切って、惰性でピットを目指しました。ポルシェカーブに差し掛かっても、まだ止まりません。やっとメゾンブランシェでストップしました。
まだ、クルマが戻ってこないため、正確な原因は判りません。戻り次第ギアボックスをチェックすることとなります。

スターティンググリッド(暫定)
8 No.11 童夢S102/Judd 3分26秒928