Apr.27.2010 スポーツ走行の皆様、申し訳ありませんでした。





S102 FUJI

S102 FUJI

S102 FUJI

S102 FUJI

S102 FUJI

S102が走行するのは、ほぼ2年ぶりとなりますが、やはりレーシングカーはサーキットを走っている姿が一番美しいと再認識しました。ストレートを走り抜けるS102を眺めながら、ふと既視感のようなものを感じましたが、そうですね、これは息子の運動会に行って、かけっこをする息子を応援しているような気分です。
ここんところ、ルマンとS102を巡って、いろいろとつまらないトラブルに巻き込まれていましたが、S102の走っている姿を眺めていると、何か、そんなことはどうでもよくなって、どうしても、この手塩にかけて育てたかわいい息子をひのき舞台で活躍させてやりたいとか、もっと単純に、サルテ・サーキットを走る姿を見たいとか、そんな気持ちで高揚してくるし、もう、頭の中は、来年のルマンに向けての計画でいっぱいです。

それにしても、2年間、お休みをしていたS102ですから、本格的な開発テストに先駆けて、作動確認程度の事前テストという位置づけで考えていましたので、費用のかからないスポーツ走行帯で軽く流すように考えていましたが、いざ走行が始まると、ポルシェやフェラーリを始め、ほとんどノーマルと思えるようなビッツクラスまで含めて、約20台以上がコースインしてきました。
勝手に、平日のスポーツ走行など閑古鳥が鳴いているだろうと高をくくっていたので驚きましたが、走行が開始されると、やはり、その圧倒的な速度差はGT300と500の差どころではなく、お互いに大変に迷惑と言う状況でしたが、もちろん、S102のほうが闖入者であり、実態としては、S102のほうが一方的にご迷惑をおかけしているという状況でした。
しかし、S102も大変な準備を整えてここまで来ていますし、いろいろなタイムリミットもあるので中止することも現実的ではないので、ドライバーの荒に、出来る限り他の車両にプレッシャーをかけず、無理をせずに作動確認に徹するように伝えて走行を継続しました。

4セッション、計2時間10分、59周を走行し、無事、シェイクダウンを終了しました。

これからのテストの目的はS102の改良です。S102は2008年に製造した、いわゆる2年落ちですが、外注部品の遅れで完成時期がずれ込んだおかげで2008年のルマンはぶっつけ本番で臨み、ルマン終了後は一度も走っていません。
つまり、ろくにセッティングも煮詰めないままお蔵入りになっていた訳で、実は我々にも、詰まるところのS102の能力が読み切れていません。
2008年のヂーゼル・エンジン絶対有利のレギュレーションでは、ヂーゼル・エンジン車のトップとガソリン・エンジン車のトップとのタイム差は約 6.6秒ありましたが、このヂーゼル・エンジンとガソリン・エンジンの露骨なまでの差別には、Audi、Peugeot以外の全てのチームから不満が噴出 していたため、2009年にはリストリクター径変更など、少しその差を無くす方向でレギュレーションが改正されたために、このタイム差は4秒台まで縮まり ました。
それでも依然格差は大きく、ガソリン・エンジン車のチームからの不満は収まることは無かったので、ACOは2010年に向けて、よりその差を縮めるようにレギュレーションを改正しました。2011年には、もう一段、その差は縮まる方向になるようですから、我々としては、2011年に向けては、国内のサーキットで現状のS102を1秒速くしておけば、距離が4倍くらいあるルマンでは2.5秒くらい速くなると思われますので、充分に念願のポールポジション獲得圏内に入ると思われますし、2秒も上げておけば間違いないと予想しています。

そんな訳ですから、今年のテストの目標は、次回の基本性能の確認テストのラップタイムを年内に2秒短縮することです。
それ自体は難しくないと考えていますが、心配な事は、開発担当の湯地が、この基本性能の確認テストで三味線を弾かないかと言うことと、日本のサーキットでタイムを詰めると言うことは、すなわちダウンフォースを増やすということと同義ですが、この手法で速くしたマシンをルマンに持ち込むと、長いストレートではドラッグが大きすぎてタイムが出なくなりますから、そのあたりの事情を熟知したルマン・スペシャリストのドライバーと組んで開発を進める必要があります。
荒はその点、ルマンカーやサルテ・サーキットの特性を知り尽くしたドライバーですから、あくまでもルマンで速いマシンとしてS102を開発するためのベストチョイスだと考えています。

今回は、スポーツ走行の皆様に大変にご迷惑をおかけしましたが、お昼休みに、参加者と思われる方から「ルマンカーと一緒に走れるとは思っても居ませんでした。めちゃくちゃラッキーです」と言っていただいて、少しホッとしているところです。
もちろんこれからは、タイムを切り取っていく真剣な開発となりますから占有使用でのテストを実施していく予定です。
林みのる

 
   
  2009 24 HEURES DU MANS -Qualifying
 
Pos No. Team Car Time Km/h
1 8 Team Peugeot Total Peugeot 908
Hdi-FAP
3:22.888 241.830
2 1 Audi Sport
Team Joest
AUDI R15 TDI 3:23.650 240.925
3 7 Team Peugeot Total Peugeot 908
Hdi-FAP
3:24.860 239.502
4 17 Pescarolo
Sport
Peugeot 908
Hdi-FAP
3:25.062 239.266
5 9 Peugeot Sport Total Peugeot 908
Hdi-FAP
3:25.252 239.045
6 2 Audi Sport
North America
AUDI R15 TDI 3:25.780 238.431
7 3 Audi Sport
Team Joest
AUDI R15 TDI 3:27.106 236.905
8 007 AMR Eastern Europe LOLA ASTON MARTIN 3:27.180 236.820
9 008 Aston Martin Racing LOLA ASTON MARTIN 3:27.704 236.223
10 13 Speedy Racing Sebah LOLA ASTON MARTIN 3:28.134 235.735
   
  2008 24 HEURES DU MANS -Qualifying
 
Pos No. Team Car Time Km/h
1 8 Team Peugeot Total Peugeot 908
Hdi-FAP
3:18.513 247.160
2 9 Peugeot Sport Total Peugeot 908
Hdi-FAP
3:18.682 246.949
3 7 Team Peugeot Total Peugeot 908
Hdi-FAP
3:20.451 244.770
4 1 Audi Sport
North America
Audi R10 TDI 3:23.847 240.692
5 3 Audi Sport Team Joest Audi R10 TDI 3:24.287 240.174
6 10 Charouz Racing System Lola Aston Martin 3:25.158 239.154
7 1 Audi Sport
North America
Audi R10 TDI 3:25.289 239.002
8 11 Dome Racing Team Dome Judd S102 3:26.928 237.109
9 16 Pescarolo
Sport
Pescarolo Judd 3:28.533 235.284
10 5 Team Oreca Matmut Courage-Oreca Judd 3:30.490 233.096