1975年に誕生した童夢の最初の仕事は、“童夢-零”と名付けられたロードゴーイング・スポーツカーの開発でした。モノコックシャシーや各種電子装備など、将来を見据えて積極的な技術開発に邁進し、常に世界を見ていました。 1979年に零の後継車であるP-2を携えアメリカに渡り“DOME USA.INC”を設立、同年、零-RLでル・マン24時間レースにも挑戦しました。80年代に入ると、日本初の本格的グループCカーを開発し、TOM’S、トヨタとタッグを組んで世界の舞台で活躍しました。この頃、カーボンファイバーの可能性にいち早く着目し、鈴鹿8耐用のオリジナル・マシン“ブラックバッファロー”を製作、オリジナルF3000の試作なども行いました。同時期、他社に先がけて25%スケールの風洞実験設備を製作、本格的に空力開発に取り組みはじめました。 そして、その後のスポーツカーCASPITAをはじめとする様々な試作車やEV、ソーラーカーの開発。1994年から始まったF1への挑戦。1995年からのホンダ・アコード、NSXによるJTCC、JGTCの開発。さらにLMPカーによるル・マンへの再チャレンジや、50%スケールの風洞実験設備“風流舎”の建設、カーボンコンポジット(CFRP)開発/生産のために“童夢カーボン・マジック”を設立。これら一連の動きはすべて突発的に起こったものではなく、経験と蓄積があったからこそ生まれたものでした。
 それはまた「自動車造りを楽しむ会社」として生まれた童夢が、自動車造りという“楽しい”産業を日本に残し、継承していこうとした努力の足跡でもありました。
 2013年に開発をスタートし、2014年から各地で走り始めた“マザーシャシー”と“FIA-F4”は、そうしたクルマ造りの楽しさを、多くのユーザーに広めるために生まれた作品といえます。2020年、新たにFIA規格車両であるDOME F111/3を開発、販売を開始。ユーザー様から高評価をいただいています。
 これからも童夢は、レーシングカー・コンストラクターという業務を中心に置きながら、その開発で得たノウハウやアイデアを様々なジャンルに応用、活用していく“技術者集団”として活動して参ります。